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【進路コラム】「ウザい」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

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最近の若者は、すぐに「ムカつく」とか「ウザい」と、
言っているように思います。
おそらく何らかの不満があるので、
そんな言葉を口にするのでしょうが……。
では、なぜ「ムカつく、ムカつく……」を繰り返すのでしょう。
それは、彼らが無意識のうちに感じている不満を
「解消したい」と思っているからではないでしょうか。
「それを取り除いてほしい」「誰か助けて!」
ということを発信しているのかもしれません。
だからといって、いくら「ムカつく」を繰り返したところで、
何も変わりません。
でも、そんなことが度重なると、
「自分はこんなに困っているのに、誰も分かってくれない」と、
突然キレてしまうかもしれません。

「ムカつく」「ウザい」などは自分の感情を表す言葉です。
しかし、これだけでは「何にムカついたのか」
「自分はどうしたいのか」は分かりません。
いってみれば、
赤ん坊が「オギャー」と泣くのと同じことなのです。
ただ、赤ん坊ならおしめかミルクくらいなので、
対処することができますが、
若者はいろいろな感情を抱いているので、
それを説明してくれないと、
「何に不満なのか」が分かりません。

ところが「ムカつく」としか言えない人は、
説明する言葉、論理を持っていないのです。
だから、自分の気持ちを分かりやすく伝えることができないのです。
このような「きちんと話ができない若者」が増えたのは、
劇場型と言われた総理大臣が、すべてを一言で切り捨て、
何の説明もしなかったことにその一因があるかもしれませんが……。
やはり、論理的に説明しなければ、
自分の思いを相手に伝えることはできません。

新学習指導要領には「科目の特性に応じた語彙の確実な習得、
主張と論拠の関係や推論の仕方など、情報を的確に理解し
効果的に表現する力の育成(国語)」と記されています。
つまり、国語教育は今までのような
「感覚・感性を培うもの」ではなく、
「論理的思考を重視したもの」にしなければならない、
ということです。

でも、「これを覚えろ」等といった、
昔ながらの一方的な授業をする先生がいた場合、
それに不満を抱いた生徒たちが、
ムカつく理由を的確かつ明確に指摘し、
論理的に、そして納得できるように言ってきたとしたら……。
それはそれで、
先生にとって「むっちゃウザい」かもしれませんが。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品を提供。
『ショートショートの宝箱』

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