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【進路コラム】「studyとlearn」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

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いきなりですが、studyの意味をご存知でしょうか。
当然ご存じでしょうね、
中学生でも知っている超基本的な単語ですから。
念のために調べてみたところ、
ラテン語の「studium:熱心、没頭」
「studeo:専念、勤勉」が語源であり、
「学業に打ち込むこと」が原義と書かれていました。

日本では昔から「習い事は先生の真似からはじめ、
長い時間をかけて会得するもの」とされています。
これは、その根本に、
「師から伝えられる家法を守り、師に近づくことを良し」
とする儒教思想があるためですが、
これは正にstudyそのものです。
studyのとらえ方は、
古来より洋の東西を問わずよく似ています。

しかし、原義からも分かるように、
studyは、
「学習するという行為」を重要視している言葉であり、
意外なことに「その内容を身に付けたかどうか」は、
問題にしていないのです。
つまり、「とにかく時間を掛けて頑張っていることが大切」で、
「内容は理解していなくてもOK」、
それがstudyなのです。
「えっ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
それが本義なのです。
でも、本当に大切なのは、
学んだことを自分のものにすることです。
それなのに、一生懸命頑張っているだけで満足していては……。

そういえば、最近よく「ラーニング」という言葉を
耳にするようになりました。
そこで「learn」の意味を調べてみたところ、
「(経験などによって)……を身につける、
(悟って)できるようになる」と記されていました。

勉強するという行為自体を評価するstudyに対して、
できるようになることを目的とするlearn。
つまり、今の世の中では、
「どんなにstudyしても、
learnしなければ意味がない」ということなのでしょう。
そんなことから、現在の教育には、
ラーニングが求められているのです。

とは言うものの、studyは大切です。
基礎となる知識がなければ、
その先に進むことはできないのですから。
「地図に載っていない新しい道を歩くためには、
まず地図が必要」なのです。
だから、教師側としては
「studyは、学習の第一段階で、勉強に臨む姿勢、
基礎知識を身に付けるものとして大切。
そして、それをスタートラインとして、
生徒たちがlearnするよう仕向けることがもっと大切」
そんな指導を心掛けなければなりません。
そのためには、やはり教師もlearnし続けなければ!

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品を提供。
『ショートショートの宝箱』

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