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【進路コラム】「挑戦する人」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

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「挑戦」、いい言葉ですね。
ところで、挑戦とはどういう意味でしょう。
確認のために辞書で調べてみると、
第一義に「戦いをいどむこと」とありました。
ちなみに英語の「チャレンジ」も同じで、
第一義は「試合などを申し入れること」でした。
そこから派生して、
「本人にとって達成することが難しいと思われる事柄に立ち向かうこと」
という意味で使われるようになったのです。
だから、語尾に er がついたチャレンジャーになると、
つい「頑張ってるね」と言いたくなります。

さて、「リスクテイク」という言葉があります。
一般的には「危険を承知で行うこと」を意味しますが、
資産運用において「失敗した場合のリスクを承知の上で、
大きな利益を狙って取引を行うこと」を指すことが多いので、
一攫千金的なイメージが伴ってしまいます。
そのため、堅実さを善しとする多くの日本人にとって、
馴染みにくい言葉となっています。
さらに、語尾に er がついたリスクテイカーは、
直訳的には、「危険をおかす人」なので、
あまり良い言葉とは思えません。

ところが、世の中の成功者のほとんどは、
リスクテイカーだと言われています。
というのも、チャレンジャーもリスクテイカーも、
どちらも「負けるかもしれない、
失敗するかもしれないけれど頑張る」
という言葉ですが、
挑戦は「とにかくやってみる」というイメージなのに対して、
リスクテイクは、
「危険に打ち勝つ自信をもって臨む」ことだからです。
だから、リクスを承知の上で
「それに勝る熱意で」「勝算のある信念を持って」
「諦めることなく」「やり抜いた」、
そんな人が大きな成果を手にすることができるというわけです。
何の考えもなく、
「一か八かでやってみる」という無謀な人とは、
まるで違っているのです。

近年、国際バカロレアという教育プログラムが話題となっています。
その中で目標として掲げている
「追求すべき10の人物像」の一つに「挑戦する人」があります。
しかし、これはRisk-takersを日本語に訳したものなので、
Challengerではないのです。

学生・生徒の皆さんにとって、
「教えられたことを覚えるだけの勉強」というのは、
安心安全で、最短距離、最小の努力で進学する方法かもしれません。
しかし、リスクテイカーとして今すぐにできる挑戦は、
教えられたことを受け入れるだけの安直な勉強にとどまらないことです。
一歩踏み出すことです。
そして、この「一歩踏み出す勇気」は、
間違いなく将来の成功への足掛かりとなります。
だから、教員側としても、
そんな学生・生徒たちを応援したいと思っています。
頑張れ、Risk-takers。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品を提供。
『ショートショートの宝箱』

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