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「高卒求人・高卒就職支援シリーズ(3)職場見学 ―何を見せるか、見るか―」 筆者・小林英明

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応募前職場見学は、高校生にも企業にも重要な「イベント」である。
大学生もOB訪問等、応募前に志望企業を訪れる機会はあるが、
製造、販売、技能等「現場」での職種が中心の高卒就職にとって、
職場見学の重要性は大学生就活の比ではない。
「見て」「聞いて」「比べて」「相談して」、
これらは高校生の応募先決定の必須項目である。
今回は採用担当者と高校生の双方にとって、
非常に重要な職場見学について触れておこう。

まず、仕事のやりがいや楽しさだけでなく、
その厳しさを知る、知らせることは必須である。
仕事をする上で苦労はあって当たり前、
成長する過程では壁にぶつかって当たり前である。
大切なのは就職するとどんな壁や苦労が待っているか、
それらを乗り越えるために上司が、先輩が、
そして最も重要な企業組織がどのような支援をするかを示し、
さらにそれを乗り越えた「実例」を見せることではないだろうか。

次は人間関係に関する支援である。
新人もさまざまなら、上司や先輩もさまざまである。
新しい環境の中、大人との接触に不慣れな新人にとって、
人間関係のトラブルの種はどこにでも存在する。
その種が芽を出さぬように、
もしも芽が出てしまったらすぐに見つけて摘み取れるように、
どのような準備ができているかも
高校生にわかりやすく説明しておくことが大切である。
その「芽」を見張る「目」や「耳」も、
複数系統あれば心強い。

また、体験会形式の見学会もあるが、これには難しい側面もある。
教員時代に両極端の情報に接したことがあった。
一つは他校の担当者からの話だが、
運輸業で一日体験をした生徒が帰校して、
「見学や体験と言うより、タダ働きさせられた感じだ」
と報告した例である。
もう一つは私の学校だが、やはり運輸業の体験に行った生徒から、
「ドライバーの隣に乗って仕事を手伝ったり、
いろいろな話を聞いたりできて良い経験になった」と報告があった。
恐らくこの違いは人事と現場の連携にあるのだろう。
現場の理解を十分に得た上で、
ドライバーの経験や当日の業務内容等を勘案して、
企画すれば成果は期待できる。
しかし、十分な準備や打ち合わせもなく、
乗務員に預けるようなことをすれば、
高校生にも乗務員にも迷惑なだけである。
これは他業種にも通じるものだろう。

もう一つ、販売や飲食関係の職種を希望する高校生は、
説明会、見学会以外に志望企業の店舗を「客」として
訪れてはどうだろう。
できれば一番忙しそうな時間が良い。
応募を考えていることは告げても告げなくても、
それぞれ異なる成果が期待できる。
見学会は業務にゆとりがある日時に実施することが多いが、
入社すれば忙しい時間帯が必ずある。
入社後のギャップを防ぐためにも大切なことだと思う。
押し寄せる客の波をサービスの質を維持しつつ、
見事にさばく姿は我々が見ても「カッコイイ」ものである。

【プロフィール】
元都立高校進路指導主任・
多摩地区高等学校進路指導協議会事務局参与/
キャリア教育支援協議会 顧問
1976年より都立高校教員。
2004年より都立拝島高校勤務、
2010年より進路指導主任として主に就職指導に当たる。
2019年3月定年退職。

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