進路ナビニュース

「残念な人にならないために」 筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

高校生のための進路ナビニュース

当たり前のことですが、「道」を極めた人は素晴らしいです。
努力して得た結果が秀抜なのは勿論のこと、
道を極める過程において身に付けた人間性も優れ、
尊敬に値する方々ばかりです。

問題なのは「“そこそこの力”をつけるくらいには頑張ったのだが、
あと一歩『道を極める』には及ばなかった」という人たちです。
というのも、彼らは、
「自分は、他より優れている」ということに固執し、
「相手を見下す」ことによって、
自分を保っていることが多いからです。
そういう人の一番の特徴は、
他人を「アホ」「馬鹿」「無能」呼ばわりすることです。
相手を貶めることによって、自分を高めているのです。

そんな人と話をすると悲惨です。
自分が優れていることを堅持するため、
会話の流れを自分の得意分野に誘導し、
少しでも相手が「?」状態になれば、
「あなたは、こんなことも分からないの」
と小馬鹿にして、悦に入るからです。
当然、人からは嫌われます。
ですが、そんなことは、どこ吹く風。
だって、他人を見下すことによって自我を支えているので、
「嫌われることも想定内」だからです。
結果、また人を馬鹿にして人から嫌われる……。
悪いスパイラルです。
でも、相手を貶めて悦に入るって、
あおり運転をしている人と同じ感覚ではないでしょうか。
相手を追い詰めることによって喜びを得ているのですから。
せっかく努力をして、それなりの力をつけているのに、
とても残念なことです。

では、なぜ彼らが、
「他より優れている」ことに固執するかというと、
本当に優れた人より「自分が劣っていること」を知っているから。
劣等感を抱いているからです。
でも、それを認めることは自分のプライドが許しません。
だから他人を馬鹿にすることによって自我を保っているのです。

「知遇を得る」という慣用句があります。
「人格や識見が認められ、厚い待遇を受けること」
を意味しているのですが、
表面を繕ったところで知遇を得ることはできません。
自分の能力や人格等を深く理解してもらうことによって、
はじめて得ることができるものなのですから。
だから、とても名誉なことなのです。

では、知遇を得るために、どうすればいいか。
それは「自分が、自分が」と自己主張するのではなく、
相手を認めることです。
相手が「自分以上に頑張っている部分」を
見つけようと努力することです。
そうすることによって、
互いに深く理解しあうことができるようになるからです。

人によって「幸せ」はいろいろです。
しかし、知遇を得ることは、
「人としての幸せ」の一つに違いありません。
だから、幸せを手にするためにも、
そういう人づくりの教育を心掛けないといけないと考えます。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
日本SF作家クラブ公式ホームページにて
天野大空として提供した2行ショートショート3作が掲載されました。
「江坂遊とその仲間たちの二行ショートショートを読み解く」江坂遊

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