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「高卒求人・高卒就職支援シリーズ(1)学校訪問―何を伝え、何を聞く(前編)―」 筆者・小林英明

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このコラムの読者には、
採用担当者も就職指導教員もいらっしゃる。
「学校訪問」は、
この二者が対面で情報交換ができる数少ない機会である。
近年は採用担当者と教員が出会う機会を提供するイベントも企画され、
参加教員も徐々に増えてはいるが、
実際のところ教員が学校を離れることはなかなか難しく、
現在でも、「学校訪問」は双方にとって大きな意味を持っている。
今回は、「学校訪問」を企業にも学校にも、
もちろん生徒にも意義あるものにしていただくための参考に、
私がキャリア教育支援協議会のセミナーで
お話している内容の一部を紹介したい。

2020年1月の求人票改訂で、
高校生にとって重要ないくつかの情報がなくなった。
給与手取り額や社会保険、
所得税の控除額等の記載欄がなくなったのだ。
これらは教員が調べることもできるだろうが、
近年の応募者数、寮費や社宅使用料の本人負担額等の情報は、
企業側から伝えるしかない。

一方、新たに就業形態の欄が作られて、
雇用形態と合せて表記が細かくなった。
良いことではあるが、これらを正しくわかりやすく、
生徒に説明できる現場の教員は残念ながら多くはないし、
正社員以外の雇用は全て「ブラック」であると
思っている教員もまだ少なくない。

契約社員を始め無期雇用派遣、紹介予定派遣、請負等に該当する場合は、
その形態をとる理由や仕組みを正しく丁寧に説明する必要がある。
就業時間の記載方法についても若干の変更が見られたが、
教員にはそれを詳しく知る機会がないため、
交代勤務やフレックスタイム制の場合は、
求人票の記載を正しく理解してもらえない可能性もある。
これらの情報について厚労省や労働局は、
特記事項欄や補足欄を利用しての補充説明を促してはいるが
両欄とも字数に制約があるため、必要な説明全ての記入は難しい。
そこで、別添資料や訪問時の説明が大切になるのだ。

求人票に記載欄のない情報の中にも、
多くの生徒が興味を持つものがある。
例えば「転勤の可能性あり」の場合の時期や範囲である。
時期の目安として入社後何年くらい経過したら、
○○という職層に昇任したら、○○の能力、資格を身につけたら等の
説明をすると分かりやすい。
可能ならば今までの事例で説明するのも良いだろう。

「企業が求める生徒像」には多くの教員が興味を持つ。
しかし実際に役立つのは「生徒像」という
漠然としたものよりも実際に採用となり、
活躍している社員は採用時にどのような特性、能力が評価されたのか、
そのような社員は高校時代に
どのような経験をしていたのかという情報である。
この情報を整理しておくことは、
実は採用担当者にとっても選考時に役立つものである。
(後編へ続く)

【プロフィール】
元都立高校進路指導主任・多摩地区高等学校進路指導協議会事務局参与/
キャリア教育支援協議会顧問
1976年より都立高校教員。
2004年より都立拝島高校勤務、
2010年より進路指導主任として主に就職指導に当たる。
2019年3月定年退職。

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