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【進路コラム】「クラブ指導を頑張ります」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

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「クラブ指導を頑張ります」
新卒で学校にやってきて、
着任式でこんな「クラブ命」的な自己紹介をする先生がいます。
これは、あくまでも私の感覚ですが、
こういう挨拶をする先生は、「?」だと思っています。
なぜなら、強化クラブの顧問として
請われてきた先生は別として、
先生の一番大切な仕事は教科指導だからです。

確かにクラブ活動は大切です。
人間的な触れ合いを深め、豊かな人間性を育む場として、
とても重要な教育活動です。
ところが、「クラブ指導を頑張ります」と宣言する先生には、
二つの思い違いがある場合が多いように思います。
(1)そのクラブを強くするために頑張る。
(2)クラブ活動が充実すれば、成績も上がる。
です。
一見、どちらも正しいように思えますが……。

先にも書きましたが、クラブ活動の目的は、
「人間的な触れ合いを深め、豊かな人間性を育む」ことです。
それなのに、強くするために頑張りすぎると、
往々にして過剰指導となってしまい、
「人間的な触れ合いを深める」どころか
「クラブ内での強い者と弱い者の間に溝ができ、
人間的な触れ合いを壊してしまう」ことにつながりかねません。
また、文武両道と言われるように
「成績の良い生徒がクラブ活動を行うと充実する」のであって、
成績の芳しくない生徒がクラブ活動を頑張っても、
それは「成績アップ」には結びつきません。

クラブ活動は大切で意義のあるものです。
でも、全国制覇や世界を目指すレベルなら学校の強化クラブ、
もしくは学外でのクラブチームに所属して頑張るべきです。
一般的な学校のクラブ活動は
「自分なりの実力を伸ばすために頑張ること」、
そして仲間と一緒に頑張ることによって
「自主性と社会性の育成」「個性の伸長」という、
今日まさに求められている教育につなげるものなのです。
繰り返します。
クラブ指導は大切です。
しかし、先生にとって最も大切なのは教科指導です。
特に新任の先生は、初めて教えることになるのですよ。
だから私は最初の挨拶で
「クラブ指導云々」と言う先生には「?」と思ってしまうのです。
まず頑張らなければならないのは、授業なのですから。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
日本SF作家クラブ公式ホームページにて
天野大空として提供した2行ショートショート3作が掲載されました。
「江坂遊とその仲間たちの二行ショートショートを読み解く」江坂遊

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