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【進路コラム】「李下に冠を正す」筆者・大阪国際中学校高等学校 橋本光央

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小学生のころ、自転車に乗って母と一緒に
近くのスーパーに買物に行ったときの話です。
駐輪場に置こうとしたところ、
4~5台の自転車がドミノ倒しになっていたのです。
そこで、私が倒れている自転車を立てようとしたところ、
母親に叱られてしまいました。
「そんなことをしたら、あんたが倒したと思われて、
クレームをつけられるから、触ったらあかん」
というものでした。
結局倒れた自転車を立てる人は誰もおらず、
駐輪場はその後ずっと、雑然とした状態が続いていました。

『瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず』という諺があります。
どちらも、ウリやスモモを盗んでいると
勘違いされないための用心の心得で、
『誤解されるようなことは慎むべきだ』という戒めの表現です。
母がこの諺を知っていたかどうかは定かではありませんが、
「倒れている自転車を立ててはいけない」というのは、
そういう母の判断だったのでしょう。
けれど、私としては社会的道徳心にかられて
(というのは大げさですが)、
ごく自然に「倒れている自転車を立ててあげよう」
としただけなのです。
なのに、その行為を非難された私は、
頭の中が「?」でいっぱいになってしまいました。
別に、評価されることを期待して
やろうとしたわけではありません。
人として当然の心遣いだったのです。
それなのに、「あたり前のことをしてはいけない」
ということが理解できなかったので、
「???」になってしまったのです。

『李下に冠を正さず』は、確かに一つの真理ではあります。
しかし「疑心暗鬼になって相手を貶めることばかり考える」、
もしくは「それを怖れて何もしない」のではなく、
人として『正しいことは正しい』
『堂々と、あたり前のことをする』
という行動を心掛けることが、
これからの世の中で必要なのではないでしょうか。

曲がった冠のまま過ごすのではなく、
いつでもきちんと身なりを整えることが大切だと思います。
他人が見ていようがいまいが、
常に正しい心根でいるべきだと思います。
だから、李下であっても冠は正すべきなのです。
一人ひとりの国民が、いついかなるときでも、
臆することなく正しい行動ができる世の中になることが、
誰もが幸せになる世界の実現につながると思います。
そして、生徒たちにも「そういう心を伝えたい」と考えます。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
日本SF作家クラブ公式ホームページにて
天野大空として提供した2行ショートショート3作が掲載されました。
「江坂遊とその仲間たちの二行ショートショートを読み解く」江坂遊