【進路コラム】「雛鳥」筆者・橋本光央 更新日: 2022年2月21日
高校生のための進路ナビニュース
質問です。「自由民主主義って何?」
日本人にとっては当たり前すぎて、
意識したことのない人が多いのではないでしょうか。
そこで念のために説明すると、
「自由と平等な権利に基づく政治制度」で、
「人民が権力を所有し、行使する政治システム」です。
歴史の授業では、人民が自由を勝ち取るために行ったのが
「フランス革命」であり、「アメリカ独立戦争」であると習いました。
「自由」を英訳する場合、
「freedom」「liberty」の違いが問われますが、
まさにリバティが「自由を勝ち取った民主主義」という感覚です。
その後、
個人の利益よりも全体の利益を優先させる
全体主義、絶対王政といった体制と比べ、
自由民主主義は「最も優れたシステム」と見なされ、
世界を席巻しました。
ところが、スウェーデンの調査機関V-Demによると、
2019年に自由民主主義の国・地域は世界で87なのに対し、
非民主主義の国・地域は92を数え、
20年振りに非民主主義国の数が上回ったそうです。
では、なぜこういう事態に陥ってしまったか。
諸説いろいろありますが、
「人が物事を考えなくなった」ことも
背景にあるのではないでしょうか。
三段論法的(風が吹いたら桶屋が儲かる的か?)に、
日本の事例において考察すると、
1.幼い頃から、勉強をするように言われて育った。
⇒自分で判断し行動することが苦手。
2.判断ができないから、自分からは何もしない。
⇒指示されたことしかできない。
3.自由民主主義では、
「自分たちで考え・行動しなければならない」から、しんどい。
⇒しかも、頑張っているのに今の生活が苦しい。
4.非民主主義政策であれば、
「しなければならないことを指示してくれる」から、
考えなくていいので楽。
⇒その上、生活の保障までしてくれる。
5.だから・・・
⇒任せておけば、ちゃんとご飯が食べられる非民主主義がいい。
という流れからです。
もしかすると現在は、
多くの人々が「自分からは何もしない」で、
「ただ口を開けて待っている状態」に
なりかけているのではないでしょうか。
自由を勝ち取るために頑張る「liberty」ではなく、
何もしなくていい「freedom」の自由を求めて。
これは良いことではないと私は考えます。
悪い状態を打破する方法は、
「頑張る力を身に付ける教育」です。
いつまでも親鳥に向かって、
口をパクパクしているだけの雛鳥で終わってしまわないように。
何もしなくてもいいのではなく、
何もできない不自由なfreedomから抜け出すために。
【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品掲載あり。
日本SF作家クラブ公式ホームページやweb光文社文庫Yomebaにて
作品を無料公開中。
『人体縮小薬』橋本喬木|日本SF作家クラブ
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