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裁判員18歳以上に引き下げ 少年法改正で

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2022年4月の改正少年法施行にともない、裁判員に選ばれる対象年齢が18歳以上に引き下げられる。2023年から実際に選ばれる可能性が出てきた。

裁判員法では、裁判員の資格を「衆院選の選挙権を有する者」と定めている(注)。選挙権年齢は2015年に18歳以上に引き下げられたが、裁判員裁判への参加年齢は例外的な措置として20歳以上のままになっていた。少年法が適用される18歳・19歳が裁判員として量刑を決めるのは適当でないと意見があったためだ。

しかし、2021年5月に少年法が改正されたことにともない、裁判員裁判が扱う重大事件などでは、18歳・19歳が少年法適用年齢から外れた。これにより、裁判員の選定でも18歳以上が対象となった。

裁判員は毎年9月の時点で対象年齢に達していれば候補者名簿に載り、裁判に加わるのは最短で3月頃となる。高校在学中に裁判員として活動するケースは少ないとはいえ、卒業後すぐに裁判に関わる可能性がある。

重大事件を扱う裁判ともなれば、刺激の強い証拠を目にすることも、死刑判決に関わることもある。求められるのは早い段階での法教育だ。法務省は今年11月に高校生向けのリーフレットを裁判員裁判に触れる形で改定、最高裁も同様に若者に向けた新たな広報資料を作成した。だが、文部科学省は「学校の意見を聞きながら検討したい」と述べるにとどまっている。関係省庁による周知が徹底しているとは言えない。

18歳が裁判員の有資格者になるのは世界的にみても決して珍しくはない。アメリカ、カナダ、イギリスは18歳で裁判に参加できる。一方、欧州諸国はフランスが23歳、ロシア、イタリア、ドイツなどは25歳からとなっている。

(注)裁判員制度の理念は、国民が主権者として政治だけでなく司法にも加わること。そのため、裁判員法の選任資格は20歳ではなく「選挙権年齢」としていた。

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