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埼玉県立羽生実業高校の挑戦

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埼玉県立羽生実業高校の生徒が作る農産物が注目を集めている。地元住民からも人気が高く、同県羽生市のふるさと納税の返礼品として2020年秋に登場した。同校ではスマート農業を学びに取り入れ、丹念に育てた食材を「羽実(はじつ)」ブランドとして全国に発送している。

2021年の返礼品の1つに県産米「彩のかがやき」がある。こちらもスマート農業を取り入れて生産されたもので、授業では生徒がドローン「小型無人機」を試験操縦した。水田にもみ種をまく作業は資格をもった外部業者が担ったものの、先進技術を取り入れた授業は深刻な後継者不足に悩む農業への関心を高めることにつながる。

2021年4月には産学官連携事業として養蜂のスマート農業の実証実験を始めた。同市の花に指定されている「藤の花」を地域資源として活用するための取り組みで、6万匹のミツバチを世話して生産する。防護服を着て作業した農業経済科の3年生は「最初は怖かったが、今は触れ合っているのが楽しい」と笑う。できた蜂蜜を2022年の返礼品として加えたい考えだ。

同校が生産した農産物が返礼品として扱われるようになったきっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大だった。販売機会を失い余った農産物の扱いに悩んでいた高校に、市や市観光協会が返礼品として扱うことを後押しした。約10品目の野菜が入った詰め合わせセットは購入者からも好評で、生徒を応援する声も届いた。

羽生市は市観光協会とともに約3年前から返礼品の開拓を積極的に進めている。地元事業者を地道に回り、2018年に約30種類だった品目数は、約280種類にまで増えた。その効果もあって、納税額は2019年度に前年度の5倍、2020年度には2019年度の3倍となる1億5200万円となった。

高校生の学びや取り組みが、地元の盛り上げに一役買っている。

埼玉県立羽生実業高校「農場だより」
羽実ドローン米(ふるさと納税サイトより)

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