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【進路コラム】「させていただく」筆者・橋本光央

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先日、男性アイドルが
「私ごとで恐縮ではございますが、この度、
○○○○は結婚させていただくことになりました」
と発表しました。
突然のことに、びっくりした人も多かったと思います。

でも、私が気になったのは「させていただく」という表現です。
結婚するのは自分自身のことなのに、
いったい誰に対して「させていただく」のでしょうか。
結婚するのに、国民の許可が必要なのでしょうか。
そう言えば、オリンピック候補だった体操選手も、
引退会見で同じように「引退をさせていただく」
と言っていました。
では、なぜこのような表現が使われるようになってしまったのか、
それは「クレーマー対策」だと考えます。

彼らの特徴は、「他人に対して過剰要求」をすることです。
というのも、彼らには、相手を慮ることができないからです。
すべてが自分中心なので、
自分の考えが実現しないことに耐えられないのです。
だから「自分が不当な要求をしている」とは思っていません。
「自分の要求は妥当なこと」だと考えています。
「わたしは当たり前のことを言っているのに、
どうしてあなたは分からないの。バカじゃない」と。
つまり、「自分のほうが、お前より立場が上なんだ」
と思っているのです。
だから何かあると、
「自分の正しい考えを教えてあげる」ために、
クレームをつけるのです。

そして彼らは、自分が優位でないと落ち着きません。
優位な立場でないと、不安になります。
そんなことから、
自分より下(だと彼らが思っている)の立場の人間から、
自分を見下した(と彼らが感じる)言葉を浴びせられると、
もう耐えられません。
逆切れしてしまいます。
だから、立場が上の自分に対して丁寧な言葉を使うのは当たり前なのです。
逆に、凄い人たちが、
(画面を通してではあるけれど)自分に丁寧な言葉で話してくれると、
それで「オレのほうが立場が上だ」と、満足するのです。

それだからこそ、
画面の向こう側の人たちが、丁寧過ぎる表現を使うのです。
自分の立場が上と勘違いしている彼らに対して、
「させていただく」のです。
「あいつは生意気だ」、とクレームをつけられないために。
ちょっと考えすぎでしょうか。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品掲載あり。
日本SF作家クラブ公式ホームページやweb光文社文庫Yomebaにて
作品を無料公開中。
『人体縮小薬』橋本喬木|日本SF作家クラブ
https://sfwj.fanbox.cc/posts/2796171

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