【進路コラム】 「超人」 筆者・橋本光央 更新日: 2021年10月2日
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実存主義の思想家であるニーチェを代表する著書
『ツァラトゥストラはかく語りき』。
その中で語られている最も有名なフレーズは
「神は死んだ」でしょう。
ちなみに、ニーチェ以前に活躍したデカルトによって、
神の存在は次のように証明されています。
「完全な存在でないと完全という観念を持つことができない。
なのに、人間は不完全であるにもかかわらず、
完全という観念をもっている。
なぜだろう、それは……。
不完全な人間が完全を有するのは、
『完全な存在(=神)によって与えられたから』としか考えられない。
つまり神は存在するのである」と。
このように、「存在が証明されている神」が「死んだ」んですよ。
そんな末法の時代に、どうやって生きていけばいいのでしょう。
そこでニーチェは考えました。
「神」に救いを求めるのではなく、
「いま、ここで、自分の力で生きること」に
自分の人生をかけよう、と。
そこで現れたのが「超人」思想です。
超人とは「自分の人生を運命として肯定的に受け入れ、
それをもって常に充実感を得ることができる人」のことで、
「神を頼って生きる」のではなく、
「生きること、それ自体から充足を得よ」と言っているのです。
コロナ禍、大雨、台風、地震。
天災、人災、変災、厄災etc.がはびこるいま、
こんな時代だからこそ私は、
皆が「超人」たることを願います。
何かに頼って生きるのではなく、
与えられた環境で最善を尽くし、
結果を満足のいくものにするよう精一杯頑張る、
そんなふうに前向きに生きることによって、
はじめて「自分が生まれてきて良かった」と
思うことができるのですから。
【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品掲載あり。
日本SF作家クラブ公式ホームページやweb光文社文庫Yomebaにて
作品を無料公開中。
『遺書』 「遺書」天野天空|日本SF作家クラブ
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