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【考えよう!探究・SDGs】子連れOKの介護施設 職員・利用者に恩恵

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東京都品川区に子連れで出勤可能な介護施設がある。
介護現場の人手不足が叫ばれるなか、人材確保の点で有効な手段となっている。
施設を利用する高齢者が、職員が連れてきた子どもの面倒をみたり一緒に遊んだりすることで、前向きに生活するようになる効果もある。

同施設を運営する団体では、職員が出産や育児で辞めていく状況に直面してきた。
この状況を変えようと、子連れ出勤の受け入れを始めた。
現在は、職員38人のうち、女性10人が0歳から小学生まで12人の子どもを連れて出勤している。
施設には常に2、3人の子どもがいるという。

当初は子どものための施設ではないことや、施設内での事故やけがの危険性を自治体から指摘されたが、厚生労働省から容認を得てこの取り組みを続けている。
安全確保の観点から職員を規定の人数より上乗せして配置しているが、人件費をかけるだけのメリットはあると施設長は話す。

現在施設を利用している高齢者の多くは、たくさんの兄弟とともに育ってきた世代だ。
自らも子どもを育てた経験をもつ、子育てのベテランでもある。

利用者が子どもの面倒を見ることは、働く職員を支えることにつながる。
子連れで働く女性職員は、産休後の休職中という状況で保育の必要性を示す指数が低かったことから、公立保育所を見つけられなかったという。
私立保育所は利用料が高いため、子連れで働けるのは理想だと語る。
家族以外の人と接する機会になるのも子育てにプラスとなる。

介護施設内での活動はリハビリやレクリエーションが一般的だ。
しかし、この施設では利用者が施設内で子どもの面倒をみる「役割」をもつことができる。
それが生活に前向きな気持ちを生み出すとともに、子どもと遊ぶことで身体機能の低下を防止するリハビリにも自然となる。

子連れ出勤OKの求人には他県からも応募があるという。
生産年齢人口の減少とともに、働き手の不足が叫ばれる日本。
政府も女性の活躍を後押しするが、子育て世代の男性・女性を取り巻く現実的な視点に立った支援が充実しているとは言えない。

何かを失ったり諦めたりすることなく、仕事のやりがいや収入を得られる社会の実現に向けて、私たちのアイデアで変えられることはないだろうか。

*今後、進路ナビニュースを通して、探究活動の一環として、社会や地域の課題解決をしていくためのテーマを発信していきます。
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