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進学の壁が阻む国内外国人材の育成 大学入試枠は国立1校

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全国で約80ある国立大学のうち、来日した外国人の生徒を対象にした入試枠を設けている大学は1校のみであることが日本経済新聞の調査でわかった。グローバル化の進展にともない、日本は海外から高度人材の獲得を目指している。しかし、日本で学ぶ外国出身者にとって、高等教育機関で学ぶ機会の獲得は難しい。日本語の習熟が不十分な外国人生徒の場合、一般選抜の難易度は高く、留学生向けの試験の多くは、日本の高校卒業を受験資格として認めていないからだ。

調査は82の国立大学を対象に行われ、外国出身者に対する入試の現状を聞いた。

調査によると、留学生選抜を実施しているのは75校だった。しかし、そのほとんどは出身国の高卒資格や大学入学資格を持つことが条件となっている。約8割に当たる61校が日本の高校を卒業する外国出身者の受験を認めていない。残る14校は、「日本での修学期間が3年以内」などと、条件付きでの出願が可能だ。しかし、大阪府の高校教員によると、外国人生徒は15歳までに来日して中学から日本の学校に通う子がほとんどで、留学生選抜は選択肢になりにくいとしている。

一般選抜や留学生選抜とは別に、日本で学ぶ外国人生徒向けに定員枠を設けているのは宇都宮大学だけだった。同大学は2016年度に小論文や面接などによる選抜方法を導入している。

私立大学でも、外国出身者に定員枠を設けているのは東洋大学(外国籍か日本国籍取得後6年以内で、在留期間が9年以内など)や大阪女学院大学(外国にルーツがあり、小学4年以上で編入など)など一部の大学のみで、状況はさほど変わらない。入試方法の見直しが不可欠だ。

日本のこうした対応は各国と比べても遅れている。アメリカやヨーロッパ、アジア、オセアニアなどの52か国の研究者が多文化共生政策を8分野で比較する移民政策に関する国際調査「移民統合政策指数」(20年版)で、日本の教育は各国平均の42点を下回る33点だった。

たとえばオーストラリアには、移民・難民の生徒に加点する受験の仕組みがある。フィンランドは難民の若者らを対象にしたフィンランド語指導のプログラムで学びを後押ししている。

外国人材を受け入れる政策によって、家族での来日や日本で出産し子育てする事例は増えているが、日本語の習熟が不十分な子どもも多い。文科省によれば、「日本語指導が必要」とされる児童生徒は18年度に約5万1千人で、10年前の1.5倍となっている。

多文化共生に詳しい竹沢泰子京都大教授は「国の政策は海外からの人材獲得に偏っており、国内にいる外国出身者を育てる意識が乏しい。多文化で育った若者の視点は大学や企業に新たな発想をもたらす」と指摘している。

多様性が叫ばれるなか、日本に住む外国人材にも目を向け、彼らが学び活躍するための教育環境の整備が求められる。