進路ナビニュース

【考えよう!探究・SDGs】フードテック元年 食×テクノロジーによる課題解決

高校生のための進路ナビニュース

フードテックとは「フード(食)」と「テクノロジー」からなる造語で、テクノロジーによって「食」のあり方を進化させようとする考えをさす。世界規模で生じる食糧不足、環境問題、高齢社会における健康維持などのさまざまな課題に対して、食の進化で解決を図ろうとするものだ。

近年では、大豆など植物由来の成分を加工した代替肉「大豆ミート」や昆虫からたんぱく源を摂取しようとする昆虫食への関心が世界で急速に高まっている。世界のフードテック分野への投資額は、10年前と比べて約10倍の2兆円規模に達した。しかし、日本の投資額はアメリカのわずか1%で97億円程度と、諸外国と比べて遅れをとっているのは否めない。

そんななか、AIやIoTを活用した農産物の生産や先に挙げた代替肉の開発など、日本でもフードテックの取り組みを促進する活動が広まってきたことから、2020年はフードテック元年といわれている。この動きは今後も加速するとみられているが、新たな技術で生産されたものでも、普及し消費されなければ社会課題の解決へとつながらない。

たとえば大豆ミートの場合、日本ならではの食文化が消費にブレーキをかける可能性もあるという。日本人にとって大豆を使った食材はなじみが深く、豆腐や油揚げなど低価格で栄養価の高い食材として浸透している。しかし、大豆ミートの価格はまだ高い。つまり普及には、肉と同じか、あるいは肉より高いお金を払ってでも、肉の代替食品を選択する価値があると感じてもらう必要がある。また、食の欧米化によって国内の肉消費量が増えているといっても、アメリカ人の半分程度である。肉の食べ過ぎはよくないから、大豆ミートに置き換えようと考える人は多くない。

そこで鍵を握るのはミレニアル世代(20代前半~30代後半くらいの人)である。インターネットが当たり前の時代に生まれたミレニアル世代はSNSの利用に積極的な世代だといわれ、海外の情報にもアクセスしやすく影響を受けやすい。この世代が海外で広がる「環境負荷の大きな肉食をやめる」動きに触発されたり、完全菜食主義の「ヴィーガン」や肉や魚も柔軟に食べる「フレキシタリアン」の嗜好を取り入れたりすれば、市場に影響を与える可能性がある。

SDGsで17の目標が掲げられているように、世界には多くの社会課題がある。たとえどんなに大きな課題であっても、私たちの行動が解決への一歩になる。一人ひとりの行動が新たな流れを生み出すことで世界を変える転機になるのだ。その流れを生むきっかけも、食のように自分にとって身近なところに存在している。

*今後、進路ナビニュースを通して、探究活動の一環として、社会や地域の課題解決をしていくためのテーマを発信していきます。
【SDGs】に関連した他のニュースも読む

TOP