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高校生が示す探究活動の見本 地道な研究から始まる学びの連鎖

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都内の高校に通う女子高生(3年生)が2020年12月に開催された第18回高校生・高専生科学技術チャレンジ「JSEC2020」(朝日新聞社、テレビ朝日主催)で、竹中工務店賞を受賞した。

インターネット上のニュースでは、彼女の受賞に至る経緯とその後のストーリーが取り上げられていた。その内容は、彼女の研究が各種コンテストでなかなか評価されてこなかったこと、JSEC2020で受賞したこと、評価してくれた大手ゼネコンの竹中工務店の社長宛てに彼女が感謝の手紙を送り、その気持ちに応えた企業が彼女を研究所の見学に招待したことが紹介されていた。

高校生の努力とそれに応える企業の思いは感動的で、読んでいてぐっとくるものがあった。しかし、ここでは彼女の取り組みが、いま教育現場で求められている「探究活動」のまさにお手本のようであったことを紹介したい。

彼女の研究テーマは「レールの上を転がる球の摩擦力の研究」。物理の教科書には摩擦係数は速度に依存しないと書かれているにもかかわらず、実際に球を転がして計測すると、速度によって摩擦係数が変化してしまう疑問を探ろうとするものだ。そこで、レールの形状や幅、球の大きさなど、様々なパターンで実験を重ねた。その結果、球の真球度や表面の違いによって変化が生じるのではないかと考察した。

彼女はこの研究結果を複数の科学コンテストに応募したが、賞という形で評価されることはなかった。しかし、JSEC2020で受賞が決まり、地道な基礎研究だからこその成果を評価してくれた人がいたことに喜びを感じたという。竹中工務店はコンテストで、実際の建築物の免震技術に応用できそうな研究結果だと評した。これを機に、彼女は建築やデザインに関わる仕事を希望するようになった。

その後、受賞の感謝を伝える社長宛の手紙をきっかけに研究所へと招かれた彼女は、研究・実験施設を見学したり、担当者からの話を聞いたりすることで刺激を受けた。自らの研究結果が現実社会に生かせることを実感したという。こうした経験を経て、彼女は建築物への金属摩擦の応用や、免震装置にも興味をもった。そして免震装置について調べるうちに、その興味は防災にまで広がった。

ひとつの疑問から課題を設定して実証を重ね、まとめていく過程は探究活動そのものである。そして、新たな気づきをさらなる興味へとつなげて学びに向かう力に変えていく。さらには、自らの活動の広がりが目指したい職業にまで発展し、将来の方向性まで見出そうとしている。

まさに、目指すべき探究活動の内容とその成果のお手本と言えるのではないだろうか。

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