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【考えよう!探究・SDGs】無人駅全国で5割 障害者の駅利用

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駅員不在の「無人駅」が増えている。
国土交通省によると、全国にある無人駅の割合は2019年度に48.2%と約半数だった。1日の利用者数が100人以下の駅で96.0%、3,000人以下の駅でも43.0%に及ぶ。鉄道会社の人員不足や利用者の減少によって、経営を効率化しなければならない事情がある。

電車を利用するのにサポートが必要な障害者にとって、無人駅の増加は生活に直結する問題だ。JR九州では車いす利用者との間で裁判にまで発展した。駅が無人になったことで、利用時にJRと事前調整が必要になり不利益を被っているとしたためだ。

無人駅が5割を超すJR九州では、無人化した駅を遠隔管理できる「スマートサポートステーション(SSS)」という仕組みを導入している。カメラを通じて利用者を見守り、サポートセンターのオペレーターとインターホンでやりとりできる仕組みだ。しかし、SSSでは線路への転落時など、事故対応が遅れる可能性がある。2019年度に発生した転落に関連する人身事故死傷者は160人に及ぶ。

さらに、サポートが必要な利用者が電車に乗る場合には、あらかじめ利用する日時を伝え、社員を駅に派遣してもらわなければならない。JR九州では車いすのサポートは訓練を受けた社員のみという規定があることも状況を難しくしている。ある駅では、職員が1時間かけて駅に来るケースもあるという。急な外出に電車を利用できる保証がなくなった。

国土交通省によると、東京都の無人駅の割合は9.9%、神奈川県と大阪府でも16.0%と人口の多いエリアにも存在している。くわえて、1日5万人以上が利用するJR国立駅(東京都国立市)でも、時間帯によって無人になるケースもある。

2020年11月、国土交通省は障害者団体や鉄道事業者と意見交換会を設置した。今後、鉄道事業者が講じるべき対策について、ガイドラインをまとめる方針だ。

*今後、進路ナビニュースを通して、探究活動の一環として、社会や地域の課題解決をしていくためのテーマを発信していきます。
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