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【考えよう!探究・SDGs】エンパシー 誰一人置き去りにしない

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「エンパシー(empathy)」という言葉を知っていますか。
この言葉には、共感、感情移入、人の気持ちを思いやること、といった意味があります。

似ている言葉に「シンパシー(sympathy)」があります。
同じく共感と訳せますが、意味はずいぶん異なります。
シンパシーは、他人と感情を「共有する」ことを意味します。

話題作『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(ブレイディみかこ著)では、エンパシーについて、「他人の感情や経験などを理解する能力」と紹介されています。
相手の気持ちを「察する力」、「汲み取る力」。いわば、想像力が必要な知的作業です。

この言葉を聞いたとき、大学時代のある場面が思い浮かびました。

ニュージーランドに留学していた私は、討論中心の講義に圧倒されていました。
講義の始めに議題がひとつクラスに投げられ、教授をモデレータとしてひたすら議論するものです。
多国籍のクラス。「あなたの国ではどう?」が求められます。

まわりは英語を苦にしない学生ばかり。自国について堂々と語る外国人。
かたや私は、言葉もつたなく知識もない。
それでも、意見を求められます。

いつものように、教授から意見を求められました。
何か言わなければと思っての発言は、きっと的外れで、間違いだらけの英語だったはずです。
劣等感に襲われ、もはや挫折しかけていました。

でも教授は私の発言を膨らませ、次の話題をつくり、討論の輪から外れないようにしてくれました。
決して私を置き去りにせず、学ぶ意欲をつなぎとめてくれました。

私:(とりあえず何か言おう。でもきっと的を射てないな。英語もたどたどしい。情けない。他の国の学生はどうしてこんな立派に発言できるんだ)
教授:(自信なさそうだな。苦しそうだな。でも必死にやってるな。彼の意見をないものにしたら、クラスの輪に入れなくなってしまうかも)

教授の頭の中は推測でしかありません。
ただ、表面的な言葉に任せず、私の感情を察知してくれたのだと思います。
まさに、エンパシーです。

相手の感情を理解して寄り添う。
誰一人置き去りにしない。
SDGsにも触れる、大切な思考かもしれません。

*今後、進路ナビニュースを通して、探究活動の一環として、社会や地域の課題解決をしていくためのテーマを発信していきます。
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