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【考えよう!探究・SDGs】免許返納で「交通弱者」 生まれる新たな問題

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日本は超高齢社会である。65歳以上人口は、3,589万人となり、総人口に占める割合である高齢化率も28.4%となった(内閣府「令和2年版高齢社会白書」)。出生率の低下ともあいまって、日本の高齢化率は今後も高まっていくことは避けられない。

高齢者の交通手段の確保が課題になっている。高齢ドライバーによる事故が大々的に取り上げられるようになると、世の中の目も厳しくなってきた。高齢者とその家族に免許返納を促す風潮が生まれている。

免許証を自主返納した人の数は2019年に60万人を超え、1998年の制度導入以降で最多を記録した(警視庁「運転免許統計(令和元年版)」)。運転免許の返納者数は増加傾向にある一方で、長年にわたり車を交通手段として利用してきた当事者のその後の移動手段や心身への影響にはあまり目が向けられていない。

自分で運転しないとなると、主な移動手段は公共交通になる。しかし地方では、人口減少の影響で電車やバスなどの交通インフラの維持が困難な地域がある。日常生活に必要な移動手段を確保できない高齢者を中心に「交通弱者」が増えているのだ。免許返納は場合によっては社会参加の機会を奪うことになる。そのため、本人とその家族のその後にも考えを巡らせなければ、引きこもりと老いを加速させることも少なくない。

こうした点で、免許返納は本人やその家族に激しい葛藤を引き起こす。車以外の移動手段に乏しい地域では、免許返納はもはや個人や家族で対処できる範囲を超えている。

*今後、進路ナビニュースを通して、探究活動の一環として、社会や地域の課題解決をしていくためのテーマを発信していきます。
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