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【考えよう!探究・SDGs】男子のヘアドネーション 「普通」ってなに?

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ヘアドネーションに協力しようとする埼玉県の小学6年生の男子生徒がいる。
ヘアドネーションとは、病気やけがで髪を失った子どものために、ウィッグ(かつら)用の髪を寄付する行為のことだ。

きっかけは友人の病気だった。
小学2年生のときに友人が急性リンパ性白血病で入院した。
病と闘う様子をみて自分にできることを考えた。
双子の妹とともにヘアドネーションをしようと決めて、髪を伸ばし始めた。
3年ほどかけ、髪は胸の下まで達した。

髪を伸ばし始めた頃、「男子なのに」とからかわれた。
学校のトイレで個室を使うと、「女子だから個室なんだ」と言われた。
公共のトイレで変な目で見られた。
妹も一緒に髪を伸ばしているのに、自分だけ大人に「偉いね」と言われた。

どれも「男の子は普通、髪を伸ばさない」という先入観によるものだ。
彼はジェンダーについて考えを巡らせ、人々の無意識が作り上げた「普通」や「常識」があることに気づいた。

自分自身でも「普通」とはなにか答えは出ていない。
ただ、断髪式に集まった十数人の友人に、「普通は悪いことじゃない。でもそれで差別したり、からかったりするのは良くないんじゃないか」と素直な思いを伝えた。

友人たちにはさみを入れてもらい、40センチにもなった髪を切った。
その束を手にして「男は、女はこうあるべきという考えを身の回りから変えていきたい」と語った。
急性リンパ性白血病を患った友人は回復。
髪は小児用ウィッグを作る施設に寄付する予定だ。

*今後、進路ナビニュースを通して、探究活動の一環として、社会や地域の課題解決をしていくためのテーマを発信していきます。
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