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【進路コラム】「share」 筆者・橋本光央

高校生のための進路ナビニュース

近年、シェアハウスやカーシェアなど、
さまざまなシェアリングサービスが行われています。
時間や空間を分けあって有効活用することができるので、
とても有意義な取り組みです。

ところが、「C国におけるA企業のシェアは
58.2%である」と言った場合、
シェアは占有を意味しています。
そうかと思うと、ワークシェアリングで
分担して仕事をすると効率的に進めることができるし、
SNSにUPされたページをシェアし、
共有すると情報が拡散する、
ということは日常茶飯事になっています。

日本語で、
「分ける」「占有」「分担」「共有」は異なる意味なのに、
英語では全て「share」だなんて、不思議な感じがします。
しかし、このことは語源を調べると納得できます。
というのも、語源はゲルマン祖語の「skerana」で、
切る・切り分けることを意味しているからです。
そこから、切り分ける全体に目を向けると
「一つのものを分ける」になるし、
切り分けた中の一つに焦点をあてると「占有」になる。
そして、切り分けたものは一つ一つに「分担」され、
それを分配すると「みんなで共有」となるからです。

つまり、一つのものを見るのに、
いろんな視点があるということです。
一方向から見ているだけではダメで、
偏った見方をすると、
ときにはとんでもない方向に
突き進んでしまうことになってしまいます。
事実、
「SNS等で発信される情報を鵜呑みにする」
「自分の浅はかな考えに固執して、他人の話に耳を貸さない」
「自分に都合の良い話しか聞かず、
意見の合わない相手を全否定する」
という人がいかに多いことか。

グローバルが叫ばれ、
いろいろなことを地球規模で考え・
行動していかなければならない今日、
大切にしなければならないのは広い視野を持つことです。
さまざまな角度から物事を考え、
多方面にわたる考察から
冷静に判断する習慣を身につけることが肝要なのです。
なぜなら、我々は一人では生きていくことができない、
地球人なのだから。

【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品掲載あり。
日本SF作家クラブ公式ホームページやweb光文社文庫Yomebaにて
作品を無料公開中。
『キャッチボール』https://sfwj.fanbox.cc/posts/2236364

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