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【考えよう!探究・SDGs】ヤングケアラー 子どもを守る支援を

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近年、日本で増えているといわれるヤングケアラー。
「家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子ども」と定義されている。

日本でヤングケアラーが増えてきたとされる理由には、核家族化の進行、片親世帯の増加が挙げられる。親と子どもで世帯を構成している場合、親が要介護となれば、日常的に近くで世話をできる子どもに負担がのしかかる。晩婚化による高齢出産もヤングケアラーを増やす要因だ。子どもが成人する前に高齢となった親が何らかの病気にかかり、要介護状態になるケースが増えている。

2020年12月から2021年1月に国として初めての実態調査が行われた。文部科学省と厚生労働省によると、「世話をしている家族がいる」とした割合は以下の通りだった。
中学生:5.7%(およそ17人に1人)
高校生(全日制):4.1%(およそ24人に1人)
高校生(定時制):8.5%(およそ12人に1人)
高校生(通信制)11%(およそ9人に1人)

一時的な「家族の助け合い」レベルを超え、不慮の事故や病気で要介護になった家族の世話をするのは、多感で心身ともに未発達の未成年者には負担が大きい。学業や部活動に専念できなくなることはもちろん、友人との時間も奪われてしまう。最終的に進路選択にも影響を及ぼし、子どもの将来を大きく左右することにもなる。

2010年に設立された日本ケアラー連盟が実施した調査によると、学校の教員が、生徒がヤングケアラーに該当していると気づいた理由は「本人からの話」が最も多く、「家庭訪問」や「欠席状況」から判明したケースは少ないとされる。つまり、当事者からの発信が事態を把握するのに重要だということだ。

一方、別の調査では「家族の問題であるため相談しにくい」「相談しても状況が変わるとは思えない」と考えている当事者がいることもわかっている。さらに「これが当たり前だと思っている」と自覚のない子どももいる。

諸外国から比べるとヤングケアラーへの支援が遅れている日本は、法整備や支援制度の確立など早急に取り組むべき課題が多い。同時に、ヤングケアラーの認知の拡大と、当事者が声を挙げられる環境整備が求められている。

*今後、進路ナビニュースを通して、探究活動の一環として、社会や地域の課題解決をしていくためのテーマを発信していきます。
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