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【考えよう!探究・SDGs】低い日本のリサイクル率 生ごみが課題

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燃えるごみ、燃えないゴミ、プラスチック、ペットボトル、缶、ビン、段ボール、新聞紙。ごみの分別ルールがこれほど徹底されている国は世界でも日本くらい。厳しいごみ捨てルールがある日本は、世界でもトップクラスのリサイクル率を誇ると思うかもしれない。リサイクル率は19.9%。OECD加盟国のなかで最低だ(OECD加盟34ヵ国、一般廃棄物の処理とリサイクル率、2013年)。

世界と比べてリサイクル率が低い理由は、日本が焼却大国であることと、生ごみを燃えるごみとして扱っている自治体がほとんどだから。日本は世界でも稀にみる、ごみを燃やす国。一般廃棄物の約8割を燃やして処理している。ほとんどが水分の生ごみも一緒に燃やすため、焼却炉の温度は下がる。すると、高温で燃えてくれるごみが必要になり、溶ければ油のプラスチックを燃やすことになる。燃やしてごみをなくす手法をとってきた日本だが、焼却は高コスト、有害物質の発生、リサイクルが進まないといった弊害が生じる。

リサイクル率上位の国の多くは、生ごみを燃えるごみとして扱わず、堆肥や飼料にすること(コンポスト)で資源化している。一般廃棄物の30~50%を占めるといわれる生ごみを資源化できれば、リサイクル率はおのずと上昇するはずだ。たとえば韓国では、生ごみの直接廃棄(当時は埋め立て)を禁止する大胆な政策で生ごみの資源化を進め、リサイクル率は70%を超えている。アメリカ・カリフォルニアは、「生ごみと草木」「資源物」「その他」のわずか3分別で、リサイクル率は50~60%と世界トップクラスを誇る。

日本でも生ごみをコンポストにして資源化しようと取り組む自治体が増えてきた。ごみ排出量の少ない都道府県常連の長野県にある須坂市では、生ごみ以外の燃えるごみを入れる「生ごみ出しません袋」を希望者に無料配布。生ごみを家庭の畑でコンポストにしたり、家庭用生ごみ処理機で処理したりすることで、通常有料の可燃ごみ袋が無料でもらえる。減らす努力でメリットを得られる仕組みだ。他にも自治体・企業・大学が協働して生ごみ削減に向けて協力している自治体もある。

ごみ処理を自治体単位で扱ってきた日本では、国を挙げて大胆な政策を打ち出せずにいる。何気なく捨てているごみも、工夫次第で資源にできる。こうした意識が広げることで国内のリサイクル率を上げ、積極的に環境保全に取り組むべき先進国としての責任を果たしたい。

*今後、進路ナビニュースを通して、探究活動の一環として、社会や地域の課題解決をしていくためのテーマを発信していきます。
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