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【考えよう!探究・SDGs】男性の育休取得促進へ 改正案成立

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2019年度の日本の育休取得率は、女性が83.0%であるのに対し、男性は7.48%だった(厚生労働省)。
育休取得先進国のノルウェーやスウェーデンでは約90.0%の男性が育休を取得している。制度にちがいがあるため単純な比較はできないが、日本人男性に育休取得が浸透していないのは明らかだ。

2021年6月、改正育児・介護休業法が可決・成立した。

改正の主なポイントは以下の通りである。
●「出生時育児休業」(男性版「産休」)を新設し、生後8週間以内に4週間まで取得できる
●男女ともに育休を2回まで分割できる
(これまでの制度では、子どもが1歳になるまでの間に原則1回しかとれない)
●企業に対して育休を取得する意思があるかの確認を義務づける
(これまでの制度では、育休制度の説明をする努力しか義務づけられていない)
●パートタイマーや契約社員などの有期雇用労働者が育休を取得する要件を撤廃する
(これまでの制度では、1年以上働いていないと取れない)

今回の改正で、働く男性の育休取得率が向上することが期待されている。その目的は、夫婦が協力して子育てに取り組めるようにすることで、出産による離職の防止、子育ては女性の役割という意識の改善、少子化の解消にある。

しかし、インターネット上に気になるデータがある。
今回の「男性版産休」の新設を受けて、男性が育休を取得することへのハードルが下がると思うかの質問に、「下がると思う」が17.5%、「下がらないと思う」が76.0%、「わからない/どちらとも言えない」が6.5%という結果だった(TBS NEWS、回答数5,787、6月3日時点)。

日本では、働くのは男性、子育ては女性という性差による役割意識が根深くあった。ただ、この結果がそれ以上に示しているのは、「男性が働かないと生計が成り立たない」という現状が存在し、一種の諦めを抱えている人が多くいるということではないか。改正法も男性の育休取得を義務づけるものではない。

日本は2025年までに男性の育休取得率を30%にする目標を掲げている。少子化、女性の社会進出、ジェンダーレス社会の実現など、男性の育児参加は様々な課題とつながりがある。この改正法の成立をきっかけに、社会や企業、労働者はどうあるべきか考えていかなければならない。

*今後、進路ナビニュースを通して、探究活動の一環として、社会や地域の課題解決をしていくためのテーマを発信していきます。
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