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【考えよう!探究・SDGs】課題解決の担い手に 高校生の奮闘

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地球規模の課題解決となると、事の大きさゆえに自分も関わっていることの実感を得にくい。私一人が行動しても役に立つのかと、問題から距離を置いてしまう人もいるだろう。

神奈川県のある女子高生が奮闘している。彼女は「ふきたろう」のハンドルネームで活動する県立高校の2年生だ。すべての県立高校で使用する電力を再生可能エネルギー(再エネ)にするべくネット上で署名活動をしている。二酸化炭素(CO2)の削減によって、地球温暖化を食い止めるためだ。

「学校で地球にやさしい電力を使いたい」と題したキャンペーンを署名サイト「Change.org」で3月に始め、すでに1万4000人の署名を集めている。

彼女も地球の危機を知りながら「やばいんだろうな」と思うだけの一人だった。そんな彼女が変わったのはスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(18)がきっかけだ。同世代のグレタさんが学校を休んで政府に対して地球温暖化対策を求める「学校ストライキ」を続ける姿に、「子どもでも意思表示ができるんだ」と行動する勇気をもらったという。

彼女は親に相談して自宅の電力を再エネ100%に変更してもらう。その後は、学校の事務室や県に自ら問い合わせ、使用している電力が再エネ100%でなく、当面変更する計画もないことを知った。神奈川県の事業が排出するエネルギー起源のCO2量のうち、県立高校の排出量は1割弱を占める。「未来をつくる学校が未来を壊すのはおかしい」と彼女は語る。

6月には自分や友人の通う高校でも署名を集め、8月にネット署名分と合わせて県に提出する予定だ。県は2050年までに県立施設の電力をすべて再エネに変えることを目指しているが、彼女は早期の転換を求めている。

「一人ひとりが自分の目の届く範囲で行動していけば、未来は変わるはず」

実際に行政を動かした事例もある。東京都江戸川区立中の制服を性別問わず選べるようにしてほしいと署名活動をおこした区内高校生の要望に対して、区は各校へ検討するように要請。また、静岡県富士市では、公立小中学校へのエアコン設置を求めた高校生の活動が実を結び、当初より1年前倒しで実現した。

*今後、進路ナビニュースを通して、探究活動の一環として、社会や地域の課題解決をしていくためのテーマを発信していきます。
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