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【考えよう!探究・SDGs】フードロス削減 群馬県の取り組み

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まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物「食品ロス」を削減しようとする動きは徐々に広まりつつある。群馬県では、食料品を集めて提供するフードバンクやフードドライブなどの活動が注目され、意識啓発を目的に条例化する自治体も出てきた。「ドギーバッグ」と呼ばれる食べ残した料理を持ち帰るための容器も県が開発。県は2050年に向けて定めた「ぐんま五つのゼロ宣言」の1つに食品ロスゼロを掲げて取り組みを進めている。

伊勢崎市の四ツ葉学園中等教育学校では、生徒たちから自宅で不要になった未開封の食品を集めている。企画したのは同校のJRC・インターアクト部。集めた食品はフードバンクを通じて子ども食堂や福祉施設、生活困窮者の手に渡る。食品を無駄にせず、さらに困っている人の支援へとつなげる取り組みで「フードドライブ」と呼ばれる。

群馬県では家庭系と事業系を合わせて年間12万トン(2016年度)の食品ロスが発生している。県民1人が毎日茶碗1杯分を捨てている計算だ。

渋川市は食品ロスの削減を推進するための条例を県内の市町村で初めて制定した。市民と飲食・宿泊業者が協力し合い、「もったいない」をキーワードに取り組みを始めている。ただ、食品ロスを「ゼロ」にするのは難しい。食品業界では欠品のリスクを避けるための生産体制を整え、余れば廃棄する傾向にあるからだ。大量生産の社会を変えていかなければならない。

飲食店での食べ残し削減のために注目されているのが、持ち帰り用の容器「ドギーバッグ」だ。全国での普及を推進するために、環境省がドギーバッグのアイデアコンテストを2020年に初めて実施した。

群馬県はこのコンテストで特別賞を受賞した作品をベースにドギーバッグを作製して、希望する飲食店に配布している。持ち帰りには食中毒のリスクが伴うため、飲食店側には慎重な意見もある。環境省は残した料理の持ち帰りは消費者側の自己責任とマニュアルに定めているが、飲食店と消費者の間で、安全に食べるための対策について情報共有が欠かせない。

社会課題である食品ロスの削減を推進するため、国・地域・事業者・消費者が一体となって取り組むことが求められている。

*今後、進路ナビニュースを通して、探究活動の一環として、社会や地域の課題解決をしていくためのテーマを発信していきます。
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