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【考えよう!探究・SDGs】世界中にトイレを 世界の現状を知る

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世界の約3割の人が衛生的なトイレを使えない現実がある。トイレという施設どころか、屋外で排泄するのが日常な人もいる。家でも学校でも職場でも街中でも、いつでもきれいなトイレを利用できる日本人からすれば信じられないだろう。しかし、こうした現実は実際に多くの子どもたちの命を脅かしている。

ユニセフによると世界の5歳未満の子どもたちの8%が、下痢性疾患によって命を落としている。下痢の原因は赤痢をはじめとする感染症や寄生虫症である。たとえば、感染症の病原体をもった人が井戸など水源に近い場所で排泄すると水が汚染されてしまう。この水で手を洗ったり料理をしたりすれば感染が広がっていく。これらの病気は「水を介した病気」と認識されがちだが、元をたどれば「排泄物を介した病気」だといえる。つまり、子どもたちを救うためには、安全な水に加えて衛生的なトイレも不可欠だということだ。

後発開発途上国における衛生的なトイレの普及は、教育の面でも大きなインパクトをもたらす。

学校にトイレが整備されていないと、学校に行かなくなる女の子が増えるという。トイレがない、あるいは目隠し程度のトイレで排泄するのは、とくに思春期の女の子にとって心理的な負担が大きいからだ。そのために学校へ通うことをやめ、教育を受ける機会を失うことになる。

国際的に様々な支援の手が差し伸べられてはいるが、まだまだ十分とはいえない。後発開発途上国で衛生的なトイレを利用できる人の割合は、いまだに家庭で34%、学校で53%という結果で、先進国のそれとは大きな開きがあるのが現状だ(ユニセフ「世界子供白書2019」)。

*今後、進路ナビニュースを通して、探究活動の一環として、社会や地域の課題解決をしていくためのテーマを発信していきます。
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