進路ナビニュース

【考えよう!探究・SDGs】貧困がもたらす「飢餓」と「貧困」

高校生のための進路ナビニュース

「飢餓」は世界の解決すべき問題としてよく取り上げられる。経済的に貧しい状況から食べ物を手にすることができず、栄養失調に陥る現状は広く知られるところだ。イギリスの医学雑誌『The Lancet』に掲載されたレポートでは、14の中低所得国において「栄養不良による飢餓と肥満」の問題が深刻な状況にあると記されている。

「貧困」と「肥満」は相対する状態だが、どちらも栄養価の低い食事が根底にある。栄養価の高い肉や魚、野菜などの食事(食材)は比較的価格が高い。ゆえに経済的に貧しい家庭では十分な量を確保するのが難しい。また、次はいつ食べられるかわからない状況にあるため、一度の食事でできるだけ満足度の高いものを摂取しようとする。

すると、必然的に安価で満足感を得やすい加工食品など、高カロリーで低栄養な食べ物を集中的に食べるようになる。貧困に起因する食生活によって、低栄養と過体重が同時に引き起こされるということだ。

インドネシアを筆頭に他のASEAM諸国やサハラ砂漠以南のアフリカ各国でこの問題が顕著であるとともに、グアテマラやエジプトなどでも4分の1以上の世帯で家族のなかに低栄養と過体重の人が存在すると確認されている。

妊産婦が栄養不足の場合、子どもが低体重で生まれる確率が高まる。幼少期に栄養不足に陥った子どもは、将来的に肥満になるリスクが高まるだけでなく、糖尿病や心疾患などを引き起こしやすくなるという。健康が損なわれ満足な労働ができなければ収入を得られず、栄養価の高い食事を得られなくなる。そして再び低体重の子どもが生まれる。この状況が広がれば、国全体で医療費の増大や労働力不足といった問題を引き起こして経済発展を妨げる。

貧困がまた貧困を生む悪循環だ。

この連鎖を断ち切るためには、栄養バランスのよい食事の確保、農業支援、給食支援、子どもや妊産婦への教育など、様々な角度からのアプローチを体系的に提供することが求められている。

*今後、進路ナビニュースを通して、探究活動の一環として、社会や地域の課題解決をしていくためのテーマを発信していきます。
【SDGs】に関連した他のニュースも読む

TOP