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【考えよう!探究・SDGs】オーバーツーリズム 観光地のジレンマ

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2019年の海外旅行者数は14億6000万人ほど(国連世界観光機関)だった。格安航空の登場や発展途上国の経済発展などを背景に前年から4%伸び、旅行ブームは今後ますます拡大するとみられている(2020年以降は新型コロナウイルス感染症の影響で観光産業は大きな打撃を受けている)。

旅行者が増えれば観光地を抱える国の経済は潤うことになる。ただ、喜ばしいことばかりではない。いま世界中にある多くの観光地が「オーバーツーリズム(観光公害)」の問題に直面している。

オーバーツーリズムとは、観光地の許容範囲を超えて観光客が押し寄せる状態のことを指す。具体的な問題としては、人混み・交通渋滞・治安の悪化、トイレの不足・騒音・ゴミの廃棄・観光資源の破壊など多岐にわたる。こうした問題が起こると地域住民の日常生活に支障が生じるとともに、観光地としての魅力も失われていく。観光そのものが成り立たなくなれば収入源を失い、地域経済が危機的な状況に追い込まれる可能性もある。

観光地はあるジレンマを抱えている。旅行者の使うお金が収入源となる観光地は、観光客が増えれば増えるほど収入が増えて経済効果が期待できる。一方、観光客が増えれば増えるほどオーバーツーリズムの問題が近づいてくることになる。つまり、観光客がたくさん訪れるのはうれしい反面、増えすぎると困るのだ。

観光地の特性や抱える問題によって打つ手は異なるだろう。求められているのは、その土地のモノ・コトに触れる観光の醍醐味をいつまでも継続できるよう、観光地、観光客、地域住民のそれぞれが守られる対策である。

*今後、進路ナビニュースを通して、探究活動の一環として、社会や地域の課題解決をしていくためのテーマを発信していきます。
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