進路ナビニュース

高校生株式会社「HIOKOホールディングス」の活動 Vol.2

高校生のための進路ナビニュース

商業科の生徒は出資することで全員が株主になる。配当は有料の人材育成セミナーや研修旅行、生徒が普段経験できないようなイベントへの参加など、「経験」と「学び」に形を変えて生徒らに還元される。地域活性化を目指す企業であるがゆえ、資金は地域の発展を担う生徒の成長のために使おうと考えているためだ。毎年4月に株主譲渡契約が行われ,1年生が新株主となり、3年生は卒業時に株式を売却する形をとっている。

HIOKOホールディングス株式会社の顧問である商業科教諭の横山先生は証券会社での勤務経験をもつ。模擬ではなく本物のビジネスを生徒に教えたいという強い思いから、企業活動を通して素材の生産から関わり、生産者の苦労や想いを学ぶことを大切にしている。商業は「モノを仕入れ販売すること」だけでなく、商品への「想い」を最終消費者に伝えること、そして商品をめぐる「ストーリー」を語れることが重要だと語る。

同校は2020年度から本格的な「投資」を学びに取り入れた。近年の金融問題や年金2,000 万円問題などからも、正しい金融リテラシーと金融商品知識、将来設計能力が必須になると考えたからだ。そこで同社では、日本初となる証券会社との連携協定を締結。同社の法人口座を開設して売上金額の一部を活用し、子会社のHIOKOファイナンスにて資産運用を開始する取り組みを始めた。

これら一連の取り組みを経て、生徒に大きな変化がみられるようになった。「授業に取り組む姿勢」と「進路」である。これまでも商業高校として資格取得に力を入れてきた同校だが、同社の取り組みを始めてからは、資格を取得する必要性や活かし方を生徒が主体的に考えるようになったという。これが合格率の上昇や高度な資格に挑戦する生徒の増加につながっているという。進路においても、金融機関や百貨店からの求人が増えるとともに、同社と関わりのある企業からスカウトされるなど、選択の幅が広がった。

活動を通して大切にしていることは、生徒自身が選べる学びと失敗も成功も経験できる環境の提供だ。これらをリアルなビジネスで経験することで「覚悟」と「責任」が生まれ、その後の社会生活で活きる経験になるという。「教育を受けたことがビジネスで活きる」ではなく「リアルなビジネスで活きる学びや経験をすること」が、これからの新たな商業教育になると同教諭は語っている。

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