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【考えよう!探究・SDGs】クオータ制は男女平等をめぐる矛盾か

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2021年3月、世界経済フォーラムは各国のジェンダー不平等状況を示した「世界ジェンダー・ギャップ報告書2021」のなかで、「ジェンダー・ギャップ指数」を公表した。「経済的参加度および機会」「教育達成度」「健康と生存」「政治的エンパワーメント」の4つの指標で男女間の格差を表してランキング化している。

結果、世界153か国が対象の調査で日本は120位だった。日本は男女平等や女性の社会進出の実現が、世界的にみてもずいぶん遅れていると言わざるを得ない。いかにして国際社会に追いつくか、そこで注目されているのが「クオータ制」だ。

クオータ制は、もともと政治の意思決定に関わる議員に男女の偏りが出ないように、女性の割合をあらかじめ一定数に定めて積極的に起用する制度として誕生した。男女平等と女性の社会進出が叫ばれるなかで、いまでは民間でもクオータ制が取り入れられる傾向にある。この制度の普及が、女性の社会進出の促進にくわえ、男女ともに働きやすい社会をつくるきっかけになると期待されている。

こうした社会が実現すれば、出産や育児などで敬遠していた女性の積極的な登用が進むことはもちろん、女性のキャリアが見直され、働く女性への支援を手厚くする企業が増えることも考えられる。これは日本が抱える少子化の課題解決にもつながっていく。

クオータ制は女性の割合をあらかじめ一定数に定めるため、ある意味、半強制的にでも女性を意思決定の場(たとえば企業の管理職など)に登用することを前提にする。すると、生じるのは「逆差別」への懸念だ。そもそも女性枠を設けること自体が差別として捉えられたり、選挙の立候補者に女性枠を設ければ、男性の立候補者の自由を侵害したりする恐れもある。男女で同等の能力がある人がいた場合、この制度を強く意識すれば女性が優先されることになるだろう。

日本は長らく「男権社会」だった。国際社会のなかで先進国に位置づけられる日本がどのような姿勢を示すべきなのか、あるいは日本が国内で抱える課題を社会全体でどのように解決できるのか、男女平等や女性の社会進出といった視点で考える姿勢が求められている。

*今後、進路ナビニュースを通して、探究活動の一環として、社会や地域の課題解決をしていくためのテーマを発信していきます。
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