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【考えよう!探究・SDGs】子どもの声は騒音か 保育園の建設をめぐる問題

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厚生労働省は2020年9月4日、4月1日時点の保育所の状況などを公表した。待機児童数は前年比4,333人減の1万2,439人となり、過去最少を更新した。

これは地域や民間の努力による保育園などの開設が進んだ結果といえる。一方で、保育園などの建設計画が、近隣住民からの「園児の声がうるさい」といった苦情で延期や断念せざるを得ない事例も全国でみられる。

2017年には東京都武蔵野市で認可保育園の開園が延期された。そのほか、千葉県市川市や名古屋市中川区でも同様の事例が確認されている。いずれも、周辺住民の「園児の声がうるさい」という意見によって、自治体と住民の合意が難しいと判断されたためであった。

ある新聞社が全国の主要146自治体を対象に行った調査がある。周辺住民から保育施設に対する苦情を受けたことがある自治体は109に上り、約7割を占めた。そのうち、開園の中止や延期となった事例は16件で、園で遊ぶ子どもの声や行事の音がうるさいというのが苦情の内容だった。

待機児童の問題は改善傾向にあるとはいえ、いまだ深刻だ。少子化の進行には様々な要因があるとされるが、労働と子育ての両立の難しさもその一つである。共働きで子育てをすることが当たり前になった現代で待機児童問題を解消するには、保育施設の増設が必須なのは当然だ。しかし、いざ近所に建設計画が立てられると、住民が賛成と反対に分かれ、地域のコミュニティーが分断されてしまう現実もある。

*今後、進路ナビニュースを通して、探究活動の一環として、社会や地域の課題解決をしていくためのテーマを発信していきます。
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