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【進路コラム】<最終回>「私の好きな言葉・座右の銘(その16)」筆者・城所卓雄

高校生のための進路ナビニュース

諺の新規紹介は今回が最後になります。
「一芸は道に通ずる」
本諺の意味は、
「一つの芸を極めた人は、他の道にも通用する」
という意味で、
これを学習・勉強の視点から見ると、
まず一つの自分が好きな科目でも得意の科目でも極めれば、
自分の全体の勉強も極めることができるということになります。

筆者は、小学生時代は、
3年生(注:当時の算盤塾は、4年生から入塾許可のところを、
例外的に認められました)から算盤を習い始め、
6年生の時に、「3級」に合格することができました。
当時では大変珍しいことでした。
さらに、3年生から6年生まで、以前ご紹介した通り、
お琴を、「門前の小僧習わぬ経を読む」通りにて習いました。
6年生のとき、1年間だけ書道塾に通い、習字を習いました。
1年間だけとはいえ、
書道の基礎を全て学ぶことができました。

中学生時代では、1年生になり社会科の授業の担当の先生が、
偶然父親の軍隊時代の友人でした。
そんなこともあり、
社会科(人文地理)が大好きになり、
教科書を中心に予習復習をよく行いましたので、
社会科の成績は1年生からずっと「5」になりました。
これに加え、中学1年生の9月から、
大学生による英語指導を受けましたので、
2学期から英語も「5」になりました。
これをきっかけに、中学を卒業する時は、
体育と家庭科以外は、全て「5」になりました。

高校生時代は、英語を主に、
次いで社会科を中心に学習・勉強し、
東京外国語大学には現役で
合格・入学することができました。
大学の前期(1~2年生)においては主に外国語を学び、
後期(3~4年生)では、国際関係課程に進み、
国際法、行政法、国際経済を中心に学びました。
これらの科目の講義では、
教科書に加え参考書などにも力を注ぎましたので、
講義のときに初めて聴いたのではなく、
その日の講義ではその先生がどのような内容の
講義・分析方法を紹介してくれるかに
関心・興味が変わってきました。
特に、国際法の講義の時に、
講義の特別ゲストとして、国際機関の職員、
さらには、外務省に勤務中の大学の先輩による
特別講義がありましたので、
少しずつ外交官になりたいと思うようになりました。
結果的には1年間留年して、この夢が実現しました。

外交官になって実感したのは、
外交官は通常の仕事に専念することはもちろん、
日々、二国間関係、国際情勢、周辺国・近隣国情勢、
歴史的な背景などについて
熱心に学習・勉強しておられる上司や先輩の姿に接し、
大変感銘を受けました。
振り返ってみますと、約43年間の外交官生活では、
大学時代の学習・勉強量よりも遙かに多く
中身も濃かったと思います。

今回の諺にある「道」について、
筆者の持論を紹介したいと思います。
「一芸」の中には、好きな科目や得意な科目でなく、
文化や武術などもあろうかと思います。
日本語の文化面で見ますと、
例えば、書道、茶道、華道などに
「道」という語尾があります。
武術面ですと、柔道、剣道、空手道、合気道などです。
これらに共通するのは、充分練習し極めていくと、
正に、「道」に近づくと思います。
筆者が学習・勉強した「道」は、
小学生時代の書道と中学生時代の剣道のみでした。
韓国が発祥のスポーツに「テコンドー」がありますが、
この「ドー」は、正に、「道」に該当します。
最終回の諺の英文表現では、
「One art passes to a way.」が一番近いと思います。

【プロフィール】
1969年、外務省入省、
在サンクトペテルブルク総領事を経て、
駐モンゴル大使を最後に、2011年11月外務省を退職。
東大の非常勤講師、名大の参与・客員教授・特任教授を経て、
現在、名大の非常勤講師。
モンゴル国立大学より
名誉経済博士号および名誉外交学博士号を授与、
モンゴル国立教育大学ならびに同医科大学より名誉教授、
同科学技術大学より顧問教授などの称号を授与。
2012年より、ライセンスアカデミーの学術顧問。
2020年、外交功労賞として瑞宝中綬章を受章。

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