【進路コラム】「不合格体験記 2021」(3年生の生徒のために)筆者・橋本光央 更新日: 2021年4月23日
高校生のための進路ナビニュース
私が予備校で働いていた時、
生徒たちに「現役合格ができなかった理由」を
書いてもらっていました。
そのことから学ぶことも多いからです。
そこで今回は、その体験記を紹介します。
3年生になられた皆さんが、現役合格を勝ち取るために。
『「何とかなる」と思っていた』
僕が受験に失敗したのは大学入試を甘くみていたからだ。
というのも中学時代はほとんど勉強しなくても、
一夜漬けだけで学年トップクラスの成績だったし、
高校入試でも少し勉強しただけで
学区のトップ校に合格することができた。
そのため、大学受験も甘く考えていた。
大学入試は高校受験とは違う、
ということは分かっているつもりでいたけれど、
心の底では「何とかなる」と楽観していたのだ。
だから、高校でも勉強は一夜漬けのみ。
ところが今回は、思うように成績は上がらなかった。
「あれ、いつもと違う。おかしいなぁ」とは思ったものの、
それでも中くらいの成績だったので、
「ちょっと本気になれば何とかなる。
大学受験なんて軽い、軽い」とナメきっていた。
そして3年になった。
志望校は高望みをした。
そのために分厚い参考書や
難しい問題集を買ってくるのだけれど、
1、2年の基礎力がない自分には全く分からなかった。
でも、それは「買ってきた本が悪かったんや」と思い、
新しい問題集を次から次へと買っていった。
けれど、どれも最初の数ページを見ただけで
頭の中は 「???」。
それでまた次の問題集を買いに行く繰り返しだった。
結局、訳も分からないまま迎えた受験日、
できはひどかった。
それでも「僕ができへん
=他のヤツはもっとできてへんに違いない」と思い、
「自分は合格する」と根拠のない自信を持っていた。
だから合格発表を見に行ったのだが、
そこに自分の番号がなく茫然自失。
帰り道、近くの公園に行ってブランコに腰かけ、
ぼーっとしていた。
そのときちょうど雨が降ってきて、ずぶ濡れになった。
「安っぽいドラマみたいやなあ」と思ったことを覚えている。
そして、「今年こそは!」と心機一転、予備校にやって来た。
予備校の先生は思いのほか親切で、
今までの僕の間違った勉強方法を、
丁寧に教え直してくださった。
高校では「何とかなる」と思って、
自分勝手で適当な勉強をしていたのだが、
結局のところ先生を信じて「授業を真剣に受けること」、
つまり、予習-授業-復習という何でもないことを続けることが
「一番力をつける」ということが分かった。
去年の受験での高望みは「世間知らず」と言うやつだった。
落ちて当然だった。
いや、むしろ落ちてよかったのかもしれない。
もし合格していたら、
今後、何事においても「何とかなる」と考えて、
本気でぶつかることをしない人間になっていたに違いないからだ。
でも今年は違う。
今年は志望校を、本当の意味で高望みする。
自分の本気力でどれだけのことができるか、1年後が楽しみだ。
【プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際学園に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆、
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品掲載あり。
web光文社文庫https://yomeba-web.jp/archive/archive-works/
にて作品を無料公開中。