丁寧な言葉づかい 筆者:橋本光央 更新日: 2020年11月11日
「生徒指導とは、
一人一人の児童生徒の人格を尊重し、
個性の伸長を図りながら、
社会的資質や行動力を高めることを
目指して行われる教育活動のこと」
これは文部科学省「生徒指導提要」の中で
述べられていることで、
とても素晴らしい内容だと思います。
ですが、それを実現させるためには、
どうしたらよいのでしょう。
生意気な生徒に対して、
つい感情的に叱ってしまうことがあります。
問題を起こした生徒に対して、
威圧的な指導をしてしまいがちです。
教師といえども人間ですから、
つい興奮して冷静さを失ってしまうからです。
ところが、それが一番の問題なのです。
生徒は「怒声」「脅し言葉」
「威圧的な言葉」「口汚い言葉」に敏感です。
ところが、そんな「荒くれ言葉」による叱責は
反感を買うばかりで、
決して「ご指導ありがとうございました」とはなりません。
もっと酷いのは、
みんなの前で叱って恥をかかせることです。
生徒にもプライドがあるのに、
友達の前で自分を全否定されると、
「先生-生徒」の信頼関係は崩れ、
修復することも困難になってしまいます。
生徒に対して感情的になり、
冷静さを失った言動は、
まさに「売り言葉に買い言葉」。
そして、それは体罰につながってしまうかもしれません。
ひいては、社会的にも問題となっている
「感情むき出しのキレる若者」
「感情をコントロールすることができず、
すぐに激昂する大人」
を生み出してしまうことになるかもしれません。
では、そうならないために、どうすればよいでしょう。
そのためには、
常に「丁寧な言葉づかい」を心掛けることです。
感情が高ぶっているときほど、
意識して丁寧な言葉を使うことで、
自分自身の興奮を抑えることができます。
「売り言葉に買い言葉」の反対で、
落ちつきを取り戻すことができますから。
だから、どんなときでも丁寧な指導を心掛け、
普段から雑な言葉は使わないようにしたいものです。
なぜなら、丁寧な言葉づかいは
「生徒との信頼関係の構築」に留まらず、
生徒が大人になったときに必ずや
「円滑な人間関係づくり」
「高いコミュニケーション能力」、
そして「社会的資質や行動力を高めること」
につながるのですから。
【橋本光央プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際滝井高校に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品掲載あり。
web光文社文庫にて作品を無料公開中。