考える 筆者:橋本光央 更新日: 2020年9月10日
「考える」とはどういうことでしょう。
確認のために辞書で調べてみると、
「知識や経験などに基づいて、
筋道を立てて頭を働かせる」
「関係する事柄や事情について、
あれこれと思いをめぐらす」などとありました。
しかし、現在の多くの人にとって
「考える」が意味しているのは、
「選択する」もしくは「反応する」
という程度なのではないでしょうか。
例えば、
「昼食を、カレーにするかトンカツにするか考える」
「テレビでコメンテイターが言っていることを、
そうだそうだと考える」
などという感じなのではないでしょうか。
また、最近では何か分からないことがあった時に
「考えよう」とする前に「分からない」と結論し、
条件反射で「検索」してしまいがちです。
スマホは便利ですから、
頭を使うより先に指が動いてしまうのです。
ただ、その内容は、すぐに忘れてしまうのですが。
では、スマホやパソコンがなかった時代の
子どもたちはどうだったかというと、
自分で「考えて」いました。
そして、不思議なことに「なんでやろ」と考えていると
自分なりの答えにたどり着いたものです。
また、答えに達しなかった場合でも、
ずっとその問題が頭のすみっこに引っかかっていて、
後に本で読んだり、授業に出てきたり、
ふとしたところからその答えに巡り合うと、
(それが自分の導き出した答えと違っていても)
その内容が良く理解できたものです。
すぐに検索し、その時だけ
分かったような気分になっているのとは大違いです。
それは、教育でも同じことです。
すぐに答えを教えて、それを覚えさせているだけでは……。
だから、生徒たちが、
これから先なにが起きるか分からない
グローバル社会で生きていくために、
どんな教育をしなければならないかということを
考えてみてください。
【橋本光央プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際滝井高校に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品掲載あり。
web光文社文庫にて作品を無料公開中。