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進路ナビニュース

就職希望と言うけれど(前編) 筆者:小林 英明(元都立高校進路指導主任・多摩地区高等学校進路指導協議会事務局参与)

私が勤務していた学校では、
3学年の4月に就職希望者全員との面談を行っていた。
短時間の面談だが、
その時点で生徒が就職について考えていることを
聞いておくことが目的である。

かなり前のことだ。
専門学校希望だったが、
保護者が学費は出せないというので、
就職にしたという生徒と面談したことがあった。
どんな仕事を希望しているかと問うと、
模型にかかわる仕事がしたいと言う。
製造でも販売でも、高卒では最も難しい職種の一つだ。
何の模型か聞いてみると飛行機か鉄道と言う。
前年の求人の検索はできるので
参考に去年の求人を調べておこう、
ということになった。
面談後に検索してみると案の定、
「模型」ではヒットしない。
いろいろとキーワードを変えてみると、
関東地方では1件だけヒットした。
趣味の模型ではなく、
農薬散布などで使う小型無人ヘリコプターの製造だった。

2度目の面談。
その検索結果を見せ、
こんな状況だから希望する職種の就職は難しい、
という話からスタートした。
念のために、
就職希望になった学費の問題を詳しく聞いてみると、
専門学校に進学したいと保護者に相談したが、
進学の目標が曖昧なのでは学費は出せない、
と言われて就職にしたと言う。

これは「学費の問題」ではない。
本人の進路設計の問題だ。
そこで、専門学校担当に概略を伝えておいて、
とりあえず当方でも専門学校への
変更指導をすることになった。

近頃、「今のままではだめだ」と言われると
「今のまま」の状態を変える努力をせずに
「だめ」と言われたと勝手に受け止めて、
諦めたりふてくされたりする生徒が
増えているように感じる。
成績の振るわない生徒に、
このままでは進級は難しいと指導したら、
保護者に「先生が進級できないと言った」
と伝えたため、トラブルが起きたという話があった。
これも同じような話だろう。

(元都立高校進路指導主任・多摩地区高等学校進路指導協議会事務局参与 小林英明)

【プロフィール】
1976年より都立高校教員。
2004年より都立拝島高校勤務、
2010年より進路指導主任として主に就職指導に当たる。
2019年3月定年退職。