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指定校推薦

先日、我が家の次男が帰宅するなりこう言ってきた。
「指定校推薦で受験ができなくなった」
私は耳を疑った。
「えっ??どういう意味?」
「今年から評定平均(学習成績の状況)が上がって、
俺は0.3足りない」
次男は高校入学してから学校のテストは、
彼なりに結果を残してきた。
6月の三者面談でも、
このまま1学期の成績も落とさずいけば
大丈夫だろうとのことだった。

私から指定校推薦で受ける条件として次男に出したことは、
卒業まで勉強し続けること。
足りないところは補い、
得意なものはさらに深めることを条件としていた。

この時期、0.3足りないのは致命的だ。
大学から提示された今年度の評定平均が上がったことが要因だ。
1学期に残されたテストは期末テストの1回のみ。
そこで良い成績だったとしても、
0.3を1回のテストで上げるのはほぼ不可能である。
次男もそれはよく分かっていた。
しかし、彼は諦めなかった。

そんな中、高校野球も独自大会が開催されている。
梅雨の長雨で大会は2回中止が続き、
期末テスト中に大会となってしまった。
野球も最後、
テストも落とせない……
自宅では眠気との戦いだった。
時にはまるで2歳児のようにご飯を食べながらウトウト……。
「寝てるよ!!!」
「寝てないよ!!!」(寝ていました)
この繰り返しだった。
「こんなにしんどいのは今だけだよ。
いつまでも続くものではないから。
がんばっている人に言う言葉ではないけどがんばれ!」
と声を掛けた。

そして高校野球も梅雨が明ける前に引退をした。
最後は涙、涙だった。
帰宅して、
「あー。もう野球やらないのか……」
と言い、疲れ果てて朝まで寝てしまった。
野球部の移動着を着たままで。
自分でも帰宅したらすぐにお風呂に入ったら
楽なのは分かっているのに。
私自身は、どんなに子どもの足が汚れていても、
どんなに汗臭くてもいいのだ。
生きて、がんばっているのだからそれでいいと思っている。

そして期末テストが返却された。
結果は、健闘むなしく0.3を上げることはできなかった。
分かっていたことだったが、
諦めなかった次男を褒めてあげたいと思う。
すでに担任の先生とも相談をしたようで、
次なる挑戦に向けて走り出した。
この数週間でいろいろなことがギュッと、一気にあった。
そんな我が子をみていると、
眩しいくらいにうらやましい。
高校生……無限の可能性がある。

【著者プロフィール】
三児の母。1999年ライセンスアカデミーを退職。当時は千葉県を担当。
第三子が中学校入学と同時に、2018年復職。現在は東京23区担当。
学生時代は女子サッカー部所属。
全日本学生選手権(大学インカレ)への出場経験あり。

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