最後の夏 更新日: 2020年7月30日
コラム
高校3年生の次男は野球部に所属している。
小学校1年生から野球を始め、
12年間、野球中心の生活といっても過言ではないだろう。
私も子どもの野球を見るのを、いつも楽しみにしていた。
さて、高校卒業で、
野球は一区切りと次男は決めていた。
ところが、コロナウイルスの影響で高校が休校になってしまった。
次男は毎日ランニングを日課にしていた。
「体力が落ちるのが嫌だからね」とよく言っていた。
一度決めたことはやり遂げる次男。
休校は長引いたが、毎日ランニングは続けていた。
そして、
春の高校野球選抜大会がなくなり、
甲子園球場で行われる全国高等学校野球選手権大会の、
東京都予選もなくなった。
「夏があるから大丈夫だよ!」
そう信じていた選手、保護者は多かったと思う。
私は在宅勤務の中、次男と夕方のニュースを見ていた。
その日は、
夏の甲子園を開催するか否か発表がある日だった。
しかし、ニュースは中止を告げるものだった。
私は言葉を失った。
なんて声を掛けていいか分からなかった。
高校で野球は一区切りと決めていた次男。
いつかまた野球ができる日を願って、
毎日ランニングしていた姿を思い出すと、
言葉は見つからなかった。
しばらく沈黙が続き、次男が
「グローブ磨こう」
とグローブを磨き始めた。
これもランニング同様、毎日の日課だ。
「何でグローブ磨くの?
もう試合がないかもしれないんだよ」
と聞くと、
「グローブは毎日磨いてあげないとダメなんだ。
いつか試合があるかもしれないしね」
私は涙があふれてきた。
またいつか野球ができることを願っているんだと思った。
自分の好きなこと、やりたいこと、
興味のあること、集中できること、
どんなことでも打ち込める「何か」を見つけられるのは素晴らしい。
「今年の高校3年生はかわいそうだね」
とよく言われるが、
記憶に残る1年になることは間違いないだろう。
そしてその逆境をバネに、
ぜひ自分の進路を切り開いて欲しい。
そのために、私は保護者として、そしてライセンスアカデミー社員として
サポートに最善を尽くしたいと誓った。
【著者プロフィール】
三児の母。1999年ライセンスアカデミーを退職。当時は千葉県を担当。
第三子が中学校入学と同時に、2018年復職。現在は東京23区担当。
学生時代は女子サッカー部所属。
全日本学生選手権(大学インカレ)への出場経験あり。