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有言不実行 筆者:橋本光央

コラム

私が学生時代に読んだ上前淳一郎『読むクスリ』に、
こんなことが書かれていました。
「企業が求めている人材は、有言不実行な人」だと。
確かに何も考えず何もしない「不言不実行」な人は論外ですが、
「有言実行」「不言実行」なら、
求められていてもおかしくなさそうです。

ところが、そうでもないとか。
なぜなら、
「有言実行」は、自分ができることしかしない。
言い換えると「チャレンジしない人」。
「不言実行」は、やってみて成功した後で言う。
つまり、失敗したら言わないで済まそうとする「自信がない人」。
これに対して「有言不実行」は、
「こんなことがやりたい」と発想できる人。
そして企業が求めているのは、そんな人材なんだそうです。

言われてみれば、分かる気がします。
でも、これは私の学生時代、
すなわち30年も前に言われていたことです。
では、その後30年が経った今どうなったかというと、
本来なら日本を支えるべく、
「有言実行」「不言実行」で働く人が、
少なくなってしまいました。

30年前に、なぜ「有言不実行」な人が求められたかというと、
「有言実行」「不言実行」する人々がいたからです。
無責任なことでも口に出せば、
「誰かが何とかしてくれる」という日本人の気質を信頼した上で、
もっと「発想力が必要」だったのです。

繰り返しますが、
30年前の日本にはきちんと仕事を実行する人がいました。
というより、誰もが真面目に仕事をこなしていました。
ところが今では、
「俺は偉い」と過信するものの、
口先ばかりで全く実行しない、
いやできない人が多くなってしまったのではないでしょうか。 
仕事とは、
「作業を完遂させて結果を出す」ものです。
「結果を出すことが当たり前」なのです。
それなのに、それが理解できていない人が、
あまりにも多い。
何かを思いついただけで、
仕事ができたと思ってしまう。
これが、最も仕事ができない人なんです。
(こういう人に限って、
自分は仕事ができると錯覚しているのですが……)

私は、今できることを精一杯頑張り、
愚直に真面目に仕事をしていきます。
どんなに些細なことだとしても、
実行することが一番大切なことなのだから。

【橋本光央プロフィール】
1989年より大阪北予備校に勤務、
2007年より大阪国際滝井高校に勤務。
橋本喬木・天野大空のペンネームにてショートショートを執筆。
光文社文庫『ショートショートの宝箱』シリーズ等に作品掲載あり。
web光文社文庫(https://yomeba-web.jp/special/ss-cam/)にて作品を無料公開中。

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