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9月入学の議論とその行方

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 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、国内における学校の休校措置が長期化していた当時の4月30日、全国知事会が国に対して、「9月入学」の導入を検討するよう要請した。
 国内の教育機関(主に大学)の入学時期を4月から9月へ移行させる「9月入学(秋季入学)」は、国際化への対応を背景として、これまで幾度も議がなされてきた。しかし、今回検討されたのは「新型コロナ対策として、国内のすべての教育機関で9月入学を導入すること」だ。当然ながら、賛成・反対双方の側から意見が上がり、改めて論点の整理が図られた。「9月入学導入」賛成派は、児童・生徒の学習の遅れや、ICT環境の違い等による教育格差の拡大への懸念などを表明。また、国際交流が活性化するメリットなどを強調した。一方、「9月入学導入」反対派は、コロナ禍で生じている問題の解決策として実施することを疑問視。むしろ、事態をさらに混乱させ、悪化させかねないと主張した。
 なお、『世界の学校体系』(文部科学省)を見ると、世界全体では9月入学を採用している国々の方が多数派とはいえ、実にさまざまな学年暦が存在していることが分かる。決して「9月入学」と「4月入学」の二項対立の構図ではないことには留意したい。
 6月2日、安倍内閣総理大臣が今年度や来年度からの9月入学の導入を見送る一方、長期的な課題として検討を続ける方針を示した。国内の教育に大きな影響を与えるテーマであり、今後の行方にも注目だ。

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