「財政制度等審議会提言の衝撃」筆者・桜美林大学総合研究機構 教授 小林雅之

アメリカの大学と政府の関連について、複雑で絡み合った問題を解きほぐすために、
教育の機会均等とアファーマティブアクションを中心に、
現在に至るまでの歴史的経緯と問題点を簡潔に説明した。
まだまだ問題はつきないが、この問題だけでも14回にわたり連載し、
1年以上が経ってしまった。
この間、日本でも大学をめぐり大きな問題が次々に起きている。
中教審「知の総和」答申、認証評価制度の改革案、国立大学授業料の値上げなど。
とりわけ、今年4月の財務省の大学規模適正化提案は、
大学関係者に大きな衝撃を与えている。そこで、まず、この問題を取り上げたい。

財務省財政制度等審議会の提案は、
2040年に国公立大学定員を3.6万人、私立大学定員を14万人削減するというものだ。
とりわけ、私立大学については、
2024年度の624校から372~217校削減し、252~407校とする提案をした。
実に4割から6割以上の削減を提案したのである。しかし、この提案は、
大学全体の規模についてのみ言及しており、詳細は明らかではない。
この提案の根拠は18歳人口の減少に連動して、
大学数を減少させるということのみである。ただし、財政審は、
中学や高校レベルの教育を行っている大学を槍玉に挙げているので、
こうした大学の閉学を意図していると見られる。
しかし、実際に強制的に大学を閉学することはほとんどできない。
また、学生が1名でも残っている限り、大学は閉学することはできないのである。
どのように削減するのか、財務省提案は何も説明していない。

【プロフィール】
東京大学名誉教授、現・桜美林大学教授。
主な研究テーマは「高等教育論」「教育費負担」「学生支援」「学費」。
奨学金問題の第一人者として知られ、
『大学進学の機会』(東京大学出版会)、
『進学格差』(筑摩書房)など著書多数。