「アメリカの大学と政府(13)」筆者・桜美林大学総合研究機構 教授 小林雅之

前回(2026年6月25日掲載)、大学の入学者選抜について、
クォータ制が事実上不可能になり、さらに人種を考慮したミシガン大学の
ポイント制の場合は違憲とされたが、人種を考慮することは認められたことを紹介した。

さらに、この問題が州憲法に対する住民投票で問われたのが、
カリフォルニア州のケースである。
1996年にカリフォルニア州では、カリフォルニア州の公的機関における
アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)の禁止を定めた
州憲法改正を求める提案209号を賛成多数で採択した。
提案(proposition)は住民投票のひとつで、カリフォルニア州では、
州憲法廃止も可能となる。これはアメリカの直接民主制の一つである。
提案209号は、具体的には、州政府や公立大学において、
「人種・性別・肌の色・民族・出身国を理由とした優遇または差別」を禁じるものであった。
これにより州憲法が改正され、カリフォルニア大学は、
1998年から人種を考慮する入学者選抜措置を廃止し、
同州の高校の成績上位者を自動的にカリフォルニア大学に入学できる制度が導入された。
この改正により、カリフォルニア大学では、
アフリカ系やヒスパニック系の入学者が激減し、
アジア系・白人学生の割合が相対的に上昇することとなった。

同憲法改正に対しては、違憲訴訟が出されたが、退けられた。
これは一つの州のケースであるが、他の州でも同様の動きがあった。
さらに、2023年に連邦最高裁は、全米レベルで
アファーマティブ・アクションを違憲とする判決を示した。
次回は、これを紹介する。

【プロフィール】
東京大学名誉教授、現・桜美林大学教授。
主な研究テーマは「高等教育論」「教育費負担」「学生支援」「学費」。
奨学金問題の第一人者として知られ、
『大学進学の機会』(東京大学出版会)、
『進学格差』(筑摩書房)など著書多数。