個人の実態を踏まえ、個人に最適的な目標を定め、
到達することを目指した指導計画であり、
オーダーメイドによるパーソナル・プログラムが「IEP(個別指導計画)」である。
K高校が開校した年度の新入生中、
小中学校時代に不登校を経験した生徒が約6割おり、
入学後、一学期末で1割程度、不登校生徒がいた。
IEPは、入学して不登校の状況となった生徒への制度である。
東京都の教師は4年で定期異動希望ができる。
継続的に指導ができるか、察してお読みいただきたい。
《留意点》
(1)生徒が「やりたい」「できる」学習からはじめる
生徒の実態、特に精神的な状況を十分踏まえ、
生徒に過剰な負担を与えてはならないため、
「生徒がやりたいことから」「できることから」を何よりも重視した。
自らの取組に対して、成就感や達成感を得られるように、
保護者にとっても分かり、教師が評価して成果を認め励ますことに配慮する。
(2)多様な物差しで評価
IEPは、保護者の思いや願い、教師やカウンセラーが生徒の将来を見通した教育のあり方
などを踏まえ、生徒・保護者・教師の三者が一体となってよく話し合って作成する。
評価に当たっては、長い物差し、短い物差し、曲がった物差しなど
いくつもの物差しを準備して、多様で・柔軟で・多面的な評価を行う。
(3)インフォームドコンセントとアカウンタビリティーの精神
本計画の作成や指導・評価などは、保護者が意見や要望を述べながら生徒指導を進める。
そのため、保護者・生徒には十分に説明して同意を得る。
特に指導計画の実施には、生徒・保護者に丁寧かつ詳細に説明をする。
(4)個人情報の保護
実施するに当たっては、生徒やその家庭等に関して、
指導上必要な情報を収集・分析をする。
情報を管理しながら人権尊重の視点に立ちプライバシー保護の観点から慎重に行う。
《継続的に進めるための提言》
「精神的に不安定なら、安定してから学習に参加したほうがいい」という声がある。
そのような経験をした多くの生徒が高校を中退し心に傷をおった。
「精神的に不安定なら、その揺れに付き合いつつ学びの支援をしよう」
というのがIEP制度の趣旨だ。
少しでも学校に繋がっている、その延長に単位認定、
「自分の力で卒業ができた!」実感から、自信と自己肯定感を高める。
現在、本計画は活用されていないと訊く。
良い制度は、時間と寛容、各分掌の協力体制が必要である。
ICT等を活用して、定期異動で着任した教員には概要を説明し、
全教員で進めるに当たっての現状と課題、運用を説明し着実に実施することだ。
【プロフィール】
日本大学商学部准教授
1985年より東京都立高校に勤務
北地区チャレンジスクール(現・桐ヶ丘高等学校)開設準備室 教諭、
北地区総合学科高等学校(現・王子総合高等学校)開設準備室 主幹教諭、
晴海総合高等学校 校長 等を経て、2023年より現職
