美容師になるために必要な資格は?学校の選び方や就職先などについて解説

お客様のヘアスタイルやヘアカラーを美しく整えたり、着付けやメイクしたりしてお客様の美容に関わるお仕事である「美容師」。華やかでおしゃれなイメージがあり、男女問わずに人気の職業ですよね。美容師になるにはそのための資格が必要になることがなんとなくわかりますが、実際にどのような進路に進めばいいのか迷っている方も多いのではないでしょうか。この記事では、美容師になるための資格やお仕事の内容、お給料の相場や資格取得のための学校の選び方などをご紹介します。美容師を目指すための進路の参考に、ぜひチェックしてみてくださいね。

美容師になるには・必要な資格

美容師になるためには、国家資格である「美容師免許」が必要になります。免許を得るためには筆記試験と実技試験に合格する必要があり、さらに「厚生労働大臣指定の美容師養成施設(美容専門学校)を卒業している」ことが受験資格となるため独学のみでは取得できないことを前提として知っておきましょう。
実技試験では、カットやヘアセットなどの技術が試され、筆記試験では、美容師の法律や制度、衛生管理、人体のこと、皮膚科学などの知識が問われます。合格基準は、実技試験と筆記試験の両方で特定の条件を満たす必要があります。実技試験では、衛生的な取り扱いで20点以下の減点、基本技術の試験でカッティングが30点以下の減点、オールウェーブセッティングが30点以下の減点が要求されます。
筆記試験では、55問中60%以上の正答率が必要です。また、関係法規、制度、運営管理、公衆衛生、環境衛生、感染症、衛生管理技術、人体構造・機能、皮膚科学、香粧品化学、文化論、美容技術理論の各課題で、すべての科目無得点がないことが求められます。試験は春期と秋期の2回行われ、ほとんどの美容学生が春期に受験し、もし不合格になった場合は秋期試験に挑戦します。令和4年度での合格率は春期で88.5%、秋期で60.5%です。資格取得のための知識を得られる学校でしっかりと勉強して試験に臨むことが美容師への近道です。
参考:過去の試験実施状況|第47回美容師国家試験 第46回美容師国家試験

美容師免許以外にも、美容師として活躍するため取っておくと役立つ資格があります。「着付け技能士」や「ヘアケアマイスター認定試験」、「色彩技能パーソナルカラー検定」や「パーソナルカラリスト検定」などがおすすめです。「着付け技能士」を取得すれば成人式や結婚式、卒業式や七五三など、着物を着付けるさまざまなシーンで活躍できますし、「パーソナルカラリスト検定」は人と色に焦点を当て、色彩知識と配色調和のスキルを身につけることができます。色彩やCUS®配色調和を学び、技術を磨くことで、販売やサービスなどさまざまな業務で役立ちます。

美容師の仕事内容

美容師の仕事内容は、お客様の髪のカット・カラーリング・パーマなどが一般的ですが、サロンによってはヘアケアだけではなくお客様の美容にまつわる内容を幅広く担当することもあります。 美容師の様々な仕事内容をチェックしてみましょう。

お客様のカウンセリング・接客

カウンセリングでは、お客様がどのような髪型・ヘアカラーにしたいのかを確認します。お客様の要望をしっかりと受け止めるためには、丁寧な聞き取りが欠かせません。ヘアスタイルはその人の印象を左右する大きな要素となるため、お客様に似合う髪型やヘアカラーの提案や、お客様の要望とのすり合わせが重要になってきます。なりたいヘアスタイルになるためにはどのような施術が必要なのか、どれぐらいの予算になるのか、ホームケアではどのようなものが必要なのかなどを説明することも大切です。

カットやカラー・パーマ・シャンプーなどの施術

カットやカラー、パーマやシャンプーなど、実際にお客様の髪に触れて行う施術は、美容師の最も重要なお仕事とも言えるでしょう。ヘアスタイルやヘアカラーを作る施術は、お客様をより美しく見せるだけではなく、お客様のライフスタイルに合わせやすいように整えることも大切です。自分の技術やセンスを発揮して、お客様の満足のいくヘアスタイルに仕上げていきます。

イベント時の着付けやヘアセット

美容師は、成人式や結婚式などのイベントで和装の着付けやヘアセット・ヘアメイクをあわせて担当することもあります。美容室に来店いただいて行うこともあれば、会場へ出張して行うこともあります。着付けをするために必要な資格はありませんが、着付け技能士という資格を持っていれば、着付けにまつわるスキルがあることの証明になります。着付けは美容師になるために必須というわけではありませんが、技術や知識を得ておくことで活躍の場が広がることでしょう。

ネイルやメイク・まつエクなど

最近ではヘアスタイルにまつわることだけではなく、ネイルやメイク、まつエクなど、美容にまつわる全般を施術できるサロンも増えてきています。髪だけではなくお客様の美容全般をトータルで提案できるので、よりお客様の「なりたい自分」を叶えることができるところが特徴です。お客様のトータルビューティーを提案するため、幅広くスキルや資格を取得する美容師も多くなっています。

雑誌などの撮影のヘアメイク

美容師の中には、雑誌などの撮影でヘアメイクを担当する人もいます。撮影するテーマや着用する衣装などに合わせてヘアスタイルやメイクを提案する必要があるため、トレンドやファッションなどの知識・センスが欠かせません。美容師の中でも、ヘアメイクに関する知識だけではなく、経験を元に確かな技術がある人が担当できるお仕事だと言えるでしょう。そういった場で活躍をしていくことによって、色々な分野で自身の技術やセンスを発揮することができます。

アシスタントの技術指導や教育

美容師として一人前になった頃には、アシスタントとなる後輩の育成も任されるようになります。ヘアスタイルにまつわる技術だけではなく、カウンセリングの仕方や接客マナーなどを指導することも求められます。アシスタントが立派なスタイリストになれるようにサポートしていくことも、美容師の仕事のうちの一つです。大変なお仕事ではありますが、後輩が成長していく姿を見守ることは自分自身の美容師としてのモチベーションにもつながります。

美容師の就職先・活躍の場

美容師の就職先といえば美容室が一般的ですが、それ以外にも美容師が活躍している場所が多々あります。ここでは、代表的である美容室をはじめとした、美容師の就職先をご紹介します。

美容室

一般的な美容師の就職先は、大型店や小型店(個人経営)などの美容室です。チェーン展開している大型店では業務内容がマニュアル化されていることが多く、充実した教育カリキュラムもあるため、努力次第で店長やマネージャーなどのキャリアアップが可能です。ただし、人が多い分ある程度の競争は必要になってきます。小型店舗ではオーナーやスタッフ同士の距離が近く、お客様へもアットホームな雰囲気で接することができます。マイペースに働きたい人や、尊敬するオーナーの元で働きたい人におすすめです。

結婚式場

結婚式場のなかには、新郎新婦や親族のヘアセットやメイクをする美容室が併設されていたり、ヘアメイクを担当する美容師が常駐していたりするところもあります。そういった式場内のサロンや、新郎新婦が式の支度をするブライズルームなども、美容師の就職先の一つです。花嫁さんのヘアメイクやドレスの着付けなどをトータルで担当することも多く、やりがいのある仕事として美容師の就職先としても人気があります。

ヘアメイク事務所

雑誌やテレビなどの撮影現場やファッションショーなどにヘアメイクアーティストを派遣するヘアメイク事務所も、就職先のうちに入ります。就職と言っても美容師免許を取ってすぐに所属できることはほとんどなく、大抵は美容室などで数年のキャリアを積み転職することが多いです。高い技術やセンス、スピード感が求められる現場のため、ある程度の経験が必要になります。

ヘアセット専門店・トータルビューティーサロン

ヘアセットを専門にしている店舗や、まつ毛サロンなどでも美容師の仕事があります。まつエクやまつげパーマなどを施すアイリストは美容師免許が必要なため、美容師免許を取った後にアイリストとして美容サロンに就職する人も多くなっています。ヘアカットやヘアセット、まつ毛施術の他にも、エステやマッサージなどを行うトータルビューティーサロンなども、美容師が活躍できる場です。髪やまつ毛など以外でも、美容全般に興味のある人におすすめの職場と言えます。

美容師の将来性について

美容師として就職した後の将来性について心配に思う人もいるかもしれませんね。最近ではAIの進歩によりいずれ無くなる職業もよく話題に上がりますが、ヘアカットやヘアメイクなどの施術に関してはAI化が難しいためその心配はないと言えます。また、ヘアカットやヘアメイクは専門性のある技術のため、需要が減ることは考えにくいでしょう。
美容室はコンビニよりも店舗数が多いともいわれているほど、全国的に増加傾向にあります。そのためお店同士の競争は激化することが予想され、今後も様々な営業の仕方を考えていく必要があるでしょう。従来通りの営業方法だけではなく、高齢者向けサービスや訪問型サービスなど色々な仕事があることなどを考えると、活躍の場は他の職業に比べても多いと言えます。
また、日本人の美容師はサービスのクオリティが海外でも好評を得ているので、活躍の場は日本国内だけにとどまりません。語学力を身につければ、海外で美容師の仕事をする将来も考えられます。美容師という職業は、今後も将来性の不安がない職業といえます。

美容師の給料・年収相場

美容師になりたての頃は一般的にお給料が低めだというイメージを持つ人が多いですが、他の職業と比べるとどうなのか気になりますよね。サロンなどに就職したばかりの美容師はアシスタントと呼ばれ、まだ担当のお客様などもおらず歩合給もないため給与は低めになります。地域によっても異なりますが、初任給は18万円から20万円くらいのことが多いです。厚生労働省によると令和4年の大卒平均初任給は22万5,400円なので、美容師の初任給は他の職業に比べ低めであることがわかります。それ以降の給与はランクによって異なるので、細かく見ていきましょう。
参考:令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況

アシスタント

アシスタントの給料は、平均月給で14万円~18万円、年収で言うと200万円ほどです。アシスタントは美容師免許を取ったばかりの下積み期間で、長さは店舗によりますが1〜3年ほど。サロンによっては、ヘアケア商品などを売り上げに対してインセンティブがもらえる場合もあります。

Jr.スタイリスト

Jr.スタイリストはスタイリストデビュー前のランクで、カラーやパーマなどの施術サポートやスタイリストの指導のもと簡単なカットなどを任されます。経験年数は店舗によって異なりますが1〜4年程度であることが多いです。平均月収は20万円前後で、お客様からの指名や歩合にもよりますが年収は300万円くらいになります。

スタイリスト

スタイリストの基本給は平均で20万円~30万円で、 そこに歩合給が加算されます。歩合給とは、売り上げの一定の割合が給料にプラスされる給与制度のこと。歩合給によって給与が大きく異なるため、指名をたくさんもらえればそれだけ高額の収入を狙うことができます。その為、年収としては個人差があり、平均300万円~500万円ほどといわれています。

トップスタイリスト

たくさんのお客様から安定して指名を得られるトップスタイリストになると、基本と歩合を合わせた給与の合計が平均30万円から50万円程度に上がります。人気のトップスタイリストの中には、年収1,000万円を超える人も。店舗のスタイリストをまとめたり教育や指導にも関わったりする役割もある重要なポジションです。

経営者

美容師志望者の中でも、独立・開業していつか自分のお店を持ちたいと思っている人は多いですよね。オーナーの年収は立地やお客様の数によって変動しますが、年間の総売り上げの1〜2割程度だといわれています。例えば年商が8,000万円の店舗では、オーナーの年収は800万円くらいです。なかには複数店舗を経営し、高額収入を得ているオーナー美容師もいます。

美容師に向いている人

美容師に向いている人として「手先が器用」なことなどがイメージとして強い方も多いですし、それは間違いとは言えません。確かに手先の器用さは美容師として大きな武器になりますが、逆に「手先が不器用」なら美容師に向いていない人になるのかというと決してそんなことはありません。手先の不器用さは練習次第でいくらでも克服できますし、カリスマ美容師といわれている人の中でも「昔は不器用だった」という人もたくさんいますよ。
むしろ美容師として大切なのは、向上心や美容・ファッションに対しての感度の強さ、コミュニケーション能力だといわれています。先に言った通り美容師はなりたての頃のお給料も低く、下積みといわれる時代は苦労も多い職業です。そんな中で自分のスキルを磨いたり知識を吸収したりする向上心や強い意志、先輩やお客様とスムーズな関係を築けるコミュニケーションスキルなどが重要になってきます。

美容師を目指す学校の選び方

美容師になるには厚生労働省が指定している美容師養成施設を卒業し、美容師免許を取得する必要があります。養成施設の卒業は資格取得に必須のため、独学のみで美容師になることはできません。美容師養成施設には「昼間課程2年以上」「夜間課程2年以上」「通信課程3年以上」の3パターンがあり、夜間課程は2年半の学校もあります。最も一般的なルートは昼間課程で、美容師免許の国家試験対策をメインに学ぶことができるため試験の合格率も高い傾向にあります。
一方、昼間は他の仕事をしている、実際にサロンで働きながら免許を取る、という場合は夜間課程や通信課程という選択肢もあります。ただし夜間課程や通信過程の場合は昼間課程よりも時間をとれないことが多い為、試験の合格率が低い傾向にあることが現状です。夜間・通信の場合は、昼間過程よりも相当の努力が必要になることを前提として選択しましょう。

美容師養成施設の多くは、美容系の専門学校として運営されています。「専門学校」は専修学校の一つで、「専門課程」に位置づけられています。入学資格が高校卒業以上、就学年数が2年以上で1年間の授業時間が800時間以上ある場合、認可校となります。専修学校制度には専門学校の他にも「一般過程」や「高等過程」があり、一般課程は就学年数が1年間、高等過程は中卒以上でも入学できて卒業時には高校卒と同等の資格を得られるところが特徴です。

美容師を目指していて学校選びに悩んでいる方は、まずは色々な学校の資料請求をして自分にあったところを選ぶことがおすすめです。進路ナビの「学校検索」や「おまかせ資料請求」を活用してみてくださいね。

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