マンダラートとは、マス目にアイデアを書き込みながら考えを整理したり発展させたりしていく目標達成ツールのこと。メジャーリーグで大活躍している大谷翔平選手が高校生の頃にマンダラートを使っていたこともあり、今注目を浴びているフレームワークです。中には、SNSなどで目にしたことのある人もいるのではないでしょうか。
ビジネスや就職活動などで用いられることが多いマンダラートですが、実は高校生の進路選びにも活用することができます。しかし「そもそもマンダラートって何?」「進路選びにマンダラートをどうやって使うの?」と疑問に思っている学生さんもいるでしょう。
本記事では、今話題のマンダラートのメリット・デメリットや活用方法、進路選びでマンダラートを使うコツを紹介します。
マンダラートとは?
学生さんの中には、マンダラートという言葉を聞いたことはあっても、具体的にどんなものなのか知らない人もいるでしょう。そもそもマンダラートという言葉を今初めて目にしたという人もいるかもしれませんね。
マンダラートとは、9×9のマスで構成される目標達成ツールのことです。正方形のマス目にアイデアを次々と書き込んでいくことで、考えを整理したり、新しいアイデアを出したりすることができます。81個の正方形で構成されたデザインが仏教に登場する「曼荼羅(マンダラ)」に似ていることから、マンダラートと名づけられました。
マンダラートの中心には、目標などメインテーマを記入し、その周囲には関連する語句、サブテーマを8つ書き込みます。さらにその周りには各サブテーマを解決するための課題を書き込みます。このようにメインテーマを細かくしていくことで、目標を実現するためにどんなアクションが必要なのかを明確にすることができます。また、81個のマス目を全て埋めることで、固定観念を振り払い、視野を広げる効果もあり、新しいアイデアの発想にも繋がります。
マンダラートは進路選択にも活用できる
マンダラートはビジネスや就職活動、自己啓発、教育の場など幅広いシーンで使用されており、高校生の進路選択にも活用することができます。
例えば、将来の職業を目標に設定してマンダラートを作成するのも一つの活用方法です。目標とする職業に就くためにはどんな行動を起こすべきかを書き出すことで、進学先を選ぶ指標になるでしょう。
また、マンダラートは目標達成ツールとしてだけでなく、問題解決のための思考ツールとしても利用できます。思考ツールとして使う場合、「自分の強みが分からない」など直面している問題をメインテーマにし、その問題に関連するワードをサブテーマとして分析していくことで、考えを深めていきます。将来やりたいことが決まっていない学生さんは、まずは自分の強みや興味関心を見つける自己分析ツールとして活用してみると良いでしょう。
マンダラートを活用するメリット・デメリットとは?
書くものと紙があればすぐに作成できるマンダラート。誰でも手軽にアイデアを整理できるメリットがある一方、知識がないと81マス全てを埋めるのは難しいなどの注意点もあります。
以下の表に、マンダラートを活用するメリットとデメリットをまとめました。
メリット | デメリット |
---|---|
・手軽に作成できる ・考えを整理できる ・視野を広げられる ・目標達成プロセスを明らかにできる ・周りの人と共有できる | ・知識がないとマスを埋めるのが難しい ・個人の分析スキルに依存する |
それぞれのメリット・デメリットについて、詳しく解説します。デメリットについては、その解決策も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
メリット1. 手軽に作成できる
マンダラートは書くものと紙があればすぐに取り掛かれるシンプルなツールです。思いついたアイデアをマス目に埋めていくだけなので、フレームワークの作成に慣れていない人でも手軽に取り組めるでしょう。小学校などの教育現場で取り入れられている事例もあり、実際、大谷翔平選手も高校生のときに作成しています。
マンダラートは目標達成ツールの中でも簡単で使いやすいため、さまざまなシーンで活用されているのです。
メリット2. 考えを整理できる
自分の考えを整理できるのは、マンダラートの大きなメリットです。一つの物事を頭の中だけで考えていると、いつの間にかテーマがずれてしまったり、論理的ではない思考になってしまったりすることも少なくありません。
思いついた考えをマンダラートに書き込むことで、自身のアイデアを整理することができ、一貫したテーマで物事を考えることに繋がります。テーマに関連する語句をまとめて確認できるので、頭に浮かんだ情報を整理しやすくなるでしょう。
メリット3. 視野を広げられる
マンダラートではメインテーマに関連する語句を8つ考え、さらにその8つに関連する語句を8つも考える必要があります。そのため、マンダラートを作成することで、設定したテーマについて広い視野をもてるようになります。
記入する中で、今まで思いもよらなかった課題が見つかったり、目標達成のための意外なアプローチが見つかったりすることもあるでしょう。頭の中だけで考えているときには気づかなかった新しいアイデアを発見できるかもしれません。
メリット4. 目標達成プロセスを明らかにできる
マンダラートを使い、自分の考えを紙に記入していくことで、目標達成までのプロセスを明らかにできます。将来の夢など、大きな目標を達成するためには、小さな行動の積み重ねが大切です。
マンダラートは、目標を実現するためにするべきことを細かく整理できるため、ゴールを達成するために今やるべきことが分かるのです。マンダラートを活用することで、目標達成に向けて具体的な行動を起こしやすくなるでしょう。
メリット5. 周りの人と共有できる
他の人と共有しやすいという点も、マンダラートを活用するメリットの一つです。マンダラートに記入するアイデアを出す際、自分の知識だけでは限界があるかもしれません。
しかし、マンダラートは手軽に共有できるため、友人や教師、親など周りの人に意見を聞きながら作成することが可能です。他の人の考えを聞くことで、自分では思いつかなかったアイデアが出てきたり、見落としていたキーワードが見つかったりするため、幅広い情報を取り入れたマンダラートが完成するでしょう。
デメリット1. 知識がないとマスを埋めるのが難しい
マンダラートのデメリットとして、知識がないとマス目を埋めるのが難しいことが挙げられます。例えば「法律に関わる仕事がしたい」と考え、メインテーマに設定しても、関連する語句を8つ見つけられなければ、マンダラートを完成させられません。
関連するワードが思い浮かばない場合は、周囲の人に聞いてみたり、自分で情報収集したりしながら進めていく必要があります。手軽に思考を整理できるツールですが、場合によっては時間や労力がかかるため注意しましょう。
デメリット2. 個人の分析スキルに依存する
マンダラートを上手く活用できるかは個人の分析スキルによります。せっかくマンダラートを作っても、今何をすべきかを読み取れないと、目標達成に向けて行動を起こすのは難しいでしょう。
初めてマンダラートを作る人は、シートを上手く活用できるよう、経験者にアドバイスをもらったり、分析方法を調べたりすると良いでしょう。
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マンダラートの活用方法
マンダラートにはさまざまな効果があり、子どもから大人まであらゆる場面で活用できます。将来の進路に悩む学生さんも、進路選びにマンダラートを活用してみるのがおすすめです。
自身の進路計画にマンダラートを活用するには、以下の手順で作成しましょう。
- メインテーマとなる目標を設定する
- 目標に関連するサブテーマを考える
- サブテーマを実現するために必要な要素を考える
- 記入した内容をクリアしていく
上から順に詳しく解説するので、ぜひ理想の学校選びに役立ててくださいね。
1. メインテーマとなる目標を設定する
まずはマンダラートのメインテーマとなる目標を設定します。将来目指す職業名や、「〇〇に関する仕事に就く」などを設定すると良いでしょう。例えば、以下のようなものが考えられます。
- 保育士になる
- パティシエになる
- 警察官になる
- 起業する
- ゲームを作る仕事に就く
- 音楽を仕事にする
- 動物に関わる仕事をする
自分の興味や得意なことをベースに一つの目標を定めることで、実現に向けてどんな行動を起こすべきか、そのためにはどんな学校に進学すべきかを考える手だてになります。
2. 目標に関連するサブテーマを考える
メインテーマとなる目標が決まれば、次は目標に関連するキーワードを8つ考え、サブテーマを決めていきます。サブテーマに正解はありません。設定した目標から自然と思い浮かぶ語句をメインテーマの周囲のマスに記入していきます。
例えば、目標を「保育士になる」にすると、以下のようなサブテーマが考えられます。
これはあくまで一例なので、自分のアイデアや考えをもとに、自由な発想で埋めていきましょう。
3. サブテーマを実現するために必要な要素を考える
サブテーマを決定したら、サブテーマを中心とした新しい表を作成し、各サブテーマを実現するために必要な要素を8つずつ考えていきます。ここで記入する要素は、サブテーマを実現するための要素や必要な行動など、なるべく具体的なものが良いでしょう。
例えば、「保育士になる」のサブテーマ「子どもとの関わり」に関連する要素は以下のようなものが考えられます。
サブテーマと同じく正解・不正解はないので、自分なりに考えて埋めていきましょう。
4. 記入した内容をクリアしていく
マス目を全て埋めることができたら、記入した内容をチェックして情報を整理しましょう。例えば、「保育士になる」というメインテーマからは、「保育士資格を取得する」や、「子どもと関連のボランティアに参加する」などの行動が導かれるかもしれません。一つひとつをクリアしていくことで、目標達成に近づくことができるでしょう。
また、マンダラートを分析し、やるべきことを明確にすることで、「それを実現できる学校はどこなのか?」という視点で進路選びが可能になります。
例えば、子どもと関わる経験を増やしたい場合、保育施設でのインターンができる学校を選ぶと役立つでしょう。
マンダラートを作ることで、一つの目標について広い視野をもって考えることができるため、自身の目標達成に必要なあらゆる要素を考慮に入れた進路計画を立てることが可能になります。
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マンダラートを使った進路選びのコツ
マンダラートは手軽で便利なツールですが、せっかく作成しても上手く活用できないと効果を十分に発揮することができません。マンダラートを作るのが初めての学生さんは、進路選びに使うコツが知りたいと思っている人もいるでしょう。
マンダラートを使った進路選びのコツは以下の3つです。
- 具体的な目標がない人は自己分析から取り組む
- 自己分析の結果からキャリア目標を設定する
- オープンキャンパスのチェック項目として使う
それぞれ詳しく解説します。
具体的な目標がない人は自己分析から取り組む
将来就きたい職業ややりたい仕事など、具体的な目標が決まっている人は、メインテーマに職業名や仕事を設定し、目標設定シートとしてマンダラートを活用すると良いでしょう。
しかし、学生さんの中には、「やりたいことが分からない」「将来就きたい仕事が決まっていない」という人も多いのではないでしょうか。
実はマンダラートは、自分の特徴や強みを見つける自己分析シートとして使うこともできます。自己分析に使う場合は、メインテーマに「自分の性格」と記入し、周囲のサブテーマに自分の特徴を書き込みます。さらに各サブテーマの周囲に思いつく関連語句を記入します。このように自分自身について客観的に見つめなおすことで、将来どんなことをしたいか、どんなことを学びたいかが見えてくるかもしれません。
具体的な目標がまだ分からない人は、マンダラートを用いて自己分析から取り組んでみましょう。
自己分析の結果からキャリア目標を設定する
マンダラートで自己分析シートを完成したら、自己分析を通して自分の興味のある分野や挑戦したい仕事を分析し、キャリア目標を設定します。
キャリア目標が決まれば、上記で紹介した「マンダラートの活用方法」を参考に目標達成シートを作成していきましょう。
オープンキャンパスのチェック項目として使う
マンダラートを使って作成した目標達成シートは、オープンキャンパスのチェック項目としても活用できます。
マンダラートは目標を達成するために必要な要素が一目で分かるようになっているので、オープンキャンパスを訪れた際に「この学校はどの要素を満たしているのか」という視点でチェックしていくと、自分に合う進学先が見つけやすくなります。
複数のオープンキャンパスに参加する際は、シートを複数枚用意して比較してみると良いでしょう。
マンダラートを上手く活用しながら、各学校の情報を効率的に整理し、進路選択に役立ててくださいね。
「進路ナビ」では、マンダラートをはじめ、マインドマップやモチベーショングラフなどを活用した自己分析を推奨しています。
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