気象予報士になるには?必要資格や仕事内容、就職先、年収相場を詳しく解説

様々な気象観測データをもとに天気を予測する気象予報士。テレビやラジオのお天気コーナーを担当するキャスターとして活躍している方もたくさんいます。気象や環境、化学、バイオなどに関心のある学生さんの中には、気象予報士の仕事に興味を持っている人もいるのではないでしょうか。この記事では、気象予報士の仕事内容や将来性、気象予報士になれる割合、気象予報士になるための具体的な進路の選び方について紹介します。ぜひ、将来の進路を考える際の参考にしてみてくださいね。

気象予報士になるために必要な資格

気象予報士になるには、国家試験である気象予報士試験に合格し、気象庁長官に「気象予報士」として登録を受ける必要があります。特に受験資格はないため、年齢・性別・学歴・経験問わず誰でも受験することが可能です。気象予報士の資格は一生ものなので、一度取得してしまえば更新などの必要はありません。誰でも受験できる気象予報士試験ですが、合格するためには幅広い専門的知識が必要なので、難易度は高めです。一般財団法人気象業務センターのデータをもとに令和元年~5年(第52回~60回)の気象予報士試験の受験者数や合格率を下記の表にまとめました。

参考:試験結果・報道参考資料 | 一般財団法人 気象業務支援センター

合格率は毎回4〜6%前後と、かなり狭き門であることが分かります。気象予報士試験は受験資格の制限がないので独学で合格を目指すことも不可能ではありませんが、非常に専門的な知識が求められ、最低でも2年以上の勉強時間が必要と言われています。そのため気象予報士になるためには、合格に必要な知識・技術を専門的に学べる大学・短期大学・専門学校や講座をおすすめします。

「進路ナビ」では進路アドバイザーに進路について気軽に質問することができます。実際に、「気象予報士とはどのような仕事で、どうすればなれるのですか?」 「気象予報士として就職するためには、大学を卒業しておく必要があるのでしょうか?」 といった質問も寄せられているので、ぜひ進路選びの参考にご覧ください。

気象予報士の仕事内容

気象予報士と聞くと、テレビ番組に出演しているお天気キャスターを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、メディアに出ている気象予報士はほんの一部で、実際の気象予報士の業務は幅広く、社会の中で様々な役割を担っているのです。ここでは気象予報士の仕事内容について、詳しく紹介します。

データを分析して気象を予報

気象予報士としての主な仕事は、気象庁の気象データをもとに気象現象を予想することと、予想した結果を伝えることです。専門的な知識を活かしてデータを分析し、天気や気温、温度、湿度、降水確率などを予報します。地域を絞った天気予報や数カ月先までの長期的な予報など、様々なニーズに応じた情報提供を行います。

マスメディアで気象情報の解説

気象予報士の仕事としてイメージしやすいのが、テレビなどマスメディアで活躍するお天気キャスター。お天気コーナーに出演して、天気予報や防災情報などを伝えます。テレビ局のアナウンサーやタレントが務めることもありますが、専門的な知識を持った気象予報士が担当するケースも多くあります。

民間企業への助言・指導

気象予報士としての専門的知識を活かして民間企業に助言・指導を行うことも気象予報士の仕事です。食品や航空、農業、エネルギー、運輸などの業界では気象データに基づいて事業を行っているので、気象について詳しい専門家のアドバイスが必要です。例えば、食品メーカーでは「今年の冬は例年より暖かい」という気象予報の結果が出れば、気候の見通しから商品の需要を考えて生産量を決めます。気象予報士の知識やスキルは様々な業界で役立つのです。

地方自治体へ防災気象情報の提供

地方自治体へ防災気象情報の提供や解説を行うことも気象予報士の役割です。地方自治体では、災害時に住民の安全を守るため、素早く適切な判断をすることが求められています。気象予報士は状況に応じた避難情報の発表を提案するなど、防災対応のスペシャリストとして働くことが期待されています。

気象予報士の就職先・活躍の場

気象予報士は「気象を予測・気象情報を提供」という業務を通して、社会に貢献していることが分かったところで、ここからは気象予報士の就職先・活躍の場を紹介します。

気象会社(予報業務許可事業者)

気象庁長官の許可を受けて気象予報の業務を行う気象会社(予報業務許可事業者)には、気象予報士の資格を活かして働いている方が数多くいます。気象会社では観測データを分析して気象を予測し、独自の予測結果を企業や自治体に提供しています。企業や自治体は気象会社から得た情報を元に事業を行ったり住民への避難勧告を出したりします。気象会社の中には天気アプリの開発や天気情報のSNS発信に力を入れているところもあります。

放送局や新聞社などマスメディア

気象予報士がお天気キャスターとして活躍できるのが、テレビやラジオ、新聞社などのマスメディアです。中には気象予報士の資格を持っていることがキャスターの条件としている放送局や番組もあります。原稿の内容を読むだけでなく、専門家の視点から解説したりプラスアルファの情報を追加したりできることが気象予報士の強みです。

気象庁・地方自治体

気象予報士は、気象庁や地方自治体で働くこともできます。気象庁で働く気象予報士の主な業務は国の気象情報の提供や天気予報の発表などです。地方自治体で働く場合は、防災対策や避難情報を提供する役割があります。気象庁や地方自治体に就職するために気象予報士の資格は必須という訳ではありませんが、資格があることで専門知識を実際の業務に活かすことができます。

気象予報を活用している一般企業

気象予報士は、エネルギーや食品、運輸など事業に気象予報を活用している一般企業で活躍することもできます。例えばエネルギー会社では天候に応じてエネルギーの供給量を調整しており、食品会社では気象情報を参考に仕入れのタイミングや生産量を計画しています。気象予報士の資格を持っている専門家が気象情報を分析してアドバイスすることで、一般企業の利益に貢献することができるのです。

自衛隊

自衛隊には「航空気象群」と呼ばれる部隊があり、そこでは気象予報士の資格を持つ隊員が活躍しています。航空気象群で行われている業務は、航空機の運用に必要な気象の観測、予測、情報収集、伝達が主な内容です。作成した天気図をはじめとする気象情報は全国の基地に配信されます。気象予報士は”天気”についての専門的知識を使って、日本の平和にも貢献しているのです。

気象予報士の将来性について

気象予報士は様々な場面で社会に貢献できる職業ではありますが、活躍できる場は限られています。次のグラフは、気象庁による気象予報士になった後の業務内容についての調査結果です。

参考:平成25年度に実施した気象予報士現況調査結果 | 気象庁 総務部 情報利用推進課

気象予報士資格を持っている人のうち約7割もの人が気象には関係ない業務についており、気象予報士の資格を取っても、資格や知識を直接活かせる仕事に就くことは難しいということがわかります。

一方で近年は災害対策や交通情報、漁業、農業など、あらゆる分野でそれぞれのニーズに合った気象情報の提供が求められるようになってきています。そのためこれからは気象に関する専門的知識を持ち、時代の変化に応じた正しいアドバイスができる気象予報士の活躍が期待されています。
また気象に直接関係する仕事以外でも、気象予報士の知識が役立つ場面はたくさんあります。例えば運輸関係や地方自治体、行政機関などでは、気象に関する専門知識を職場の防災対策や危機管理に活用できるでしょう。近年は地球環境の変化でこれまで見られなかったような異常気象や災害が各地で発生しており、素早く適切な対応や判断が必要な場面が増加しています。人々の生活や安全を守るため、気象に関するスペシャリストである気象予報士のニーズや将来性は高まっていくと考えられるでしょう。

気象予報士の給料・年収相場

気象予報士の給与はいくらくらいなのか、気になる学生さんもいるでしょう。厚生労働省の「職業情報提供サイト jobtag」によると、気象予報士の平均年収は約579万円でした。同じく「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、労働者全体の平均賃金は約311万円。気象予報士の平均年収は労働者全体より高いことが分かります。しかしこれはあくまで平均値で、勤務先や雇用形態によって給料は異なります。例えば会社員や公務員の場合、勤続年数に応じて年収が少しずつ上がっていくでしょうし、フリーの気象予報士で、レギュラー番組をもてるくらい人気のキャスターであれば、年収1,000万~2,000ほど稼いでいる人もいます。気象予報士になれば最低これくらい稼げると明記することは難しく、働き方や雇用形態によって年収相場は変わってきます。

参考:気象予報士 – 職業詳細 | job tag

気象予報士に向いている人

気象予報士に興味があるけど、どんな人が気象予報士に向いているの?と疑問に感じている学生さんもいますよね。ここからは気象予報士の仕事に向いている人の特徴を紹介します。

データ分析力がある

気象予報士の仕事のメインは、膨大な気象情報のデータ分析です。気温、湿度、気圧配置、風など様々な気象データを読み取り、分析することで気象を予測します。たくさんのデータを整理し、読み解いていくので、物事を筋道立てて考えていく能力が大切。情報を集めることが好きな人やデータや数字と向き合うことが得意な人、論理的に物事を考えることができる人は、気象予報士として働く上で有利になるでしょう。

気象や環境に興味がある

気象や環境に興味関心のある人は気象予報士に向いているでしょう。気象予報士は未来の気象を予測するために、過去、現在、環境の変化など様々な側面から気象データを分析します。日々の気象は地球環境に大きな影響を受けているので、地域や地形、環境問題など広い視野を持つことが大切です。また地球環境は常に変化しているため、仕事をする中で新しい事象に出会うことも珍しくありません。気象予報士になるには、小さなことにも疑問を持って調べたり考えたりしながら、常に好奇心を持って学び続ける姿勢が大切です。

責任感があり根気強い

気象情報は人々の生活や命に関わるケースも多々あります。災害時に曖昧なデータを使って予測を立ててしまうと、大きな被害に繋がることもあるかもしれません。そのため気象予報士は精度の高い予測ができるよう、人々の命と安全を守る強い責任感を持って根気よく仕事に取り組むことが大切です。責任感と根気強さのある人は、気象予報士に必要な素質を備えているでしょう。

説明することが得意

予測した気象情報を人々にわかりやすく伝えることも気象予報士の重要な仕事です。専門知識のない人でも理解できるように、説明の仕方や表現方法を考えながら工夫して伝える必要があります。そのため、難しい内容をわかりやすく話したり文章にしたりすることが得意な人は気象予報士に向いていると言えるでしょう。

気象予報士を目指す学校の選び方

気象予報士になるためには気象予報士試験に合格する必要があります。しかし気象予報士試験は合格率が低く(4〜6%程度)、独学で合格するのは非常に困難です。そのため気象予報士の資格を取得するには専門知識を学べる大学や専門学校に進学するか、通信講座で勉強するコースが一般的です。ここからは気象予報士を目指すための学校の選び方を解説します。

四年制大学・短期大学へ進学する

気象予報士になるには、四年制大学や短期大学に進学して気象学や地学を学ぶ方法があります。気象学や地学を学べる学部としては、「地球惑星科学科」や理系の「教育学部・学科」「地理学科」などがあります。気象に関する専門知識を学ぶことで、気象予報士試験の合格率を上げやすいでしょう。また気象予報士試験では大学の一般教養レベルの数学、物理学の問題が出題されるので、理学部など数学や物理を学べる学部学科に進学してみても良いでしょう。

専門学校へ進学する

気象予報士を目指す際は、気象学について学べる専門学校へ進学する方法もあります。情報系の学科・コースがある専門学校の中には「気象予報士コース」を設置しているところもあります。カリキュラムに沿って気象学をしっかり学ぶことができ、国家試験対策を実施している学校もあります。専門学校で集中的に学ぶことで、着実に気象予報士資格取得を目指すことが可能です。

通信講座で学ぶ

気象予報士試験には受験資格の制限がないため、通信講座で勉強して資格を取得することもできます。専門知識を一から無理なく学べるカリキュラムになっている講座も多いので、文系出身者や社会人でも気象予報士試験合格を目指すことができます。ただし通信講座は一人で勉強を進めていかないといけないため、すぐに質問できない、モチベーションを保つことが難しいなどのデメリットもあります。

学生さんが気象予報士を目指すのなら、専門知識を学べる四年制大学・短期大学・専門学校へ進学することをおすすめします。ただ、実際に気象学を学べるのかどうかは各学校のカリキュラムを調べてみないとわかりません。まずは「進路ナビ」の学校検索機能を利用して資料請求を行うことで、各学校の詳しいパンフレットを取り寄せる事ができます。気象予報士を目指せる学校を見つけるため、以下のページから大学や専門学校を探してみましょう。

気象予報士に必要な知識を学べる進学先を選ぼう

天気図や気象図など様々な観測データを分析し、天気予報を行う気象予報士。地球環境の変化による自然災害が増加している中で、今後も活躍が期待される将来性の高い職業です。気象予報士になるためには気象予報士試験に合格後、気象庁長官に気象予報士として登録される必要があります。気象予報士試験に合格するには、大学や専門学校への進学することがおすすめ。気象予報士に興味のある学生さんは、専門的な知識を学べる大学や専門学校に進学して資格試験合格を目指しましょう。

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