医師の診察や治療のサポートをして患者さんの健康を守る看護師。命を預かる仕事として昼夜を問わず働くことも…。また、一刻を争う現場で冷静な判断や的確な行動力を求められることもあります。しかしその一方で、治療にかかわった患者さんが元気になって行く様子を目の当たりにしたり、感謝の言葉をかけられたりすることも多く、やりがいを感じる機会が多く非常に魅力的な仕事です。そんな看護師を目指す方に看護学校の基本情報や、看護師になるまでの流れ、就職先、就職活動の進め方などをご紹介します。
看護学校とは、看護師を養成するための学校のことです。看護系の専門学校のことを指して看護学校と呼ぶことが多いのですが、大学や短期大学の看護学部や保険学部のことを看護学校と呼ぶ場合もあります。看護師になるには、国家資格の「看護師資格」が必要です。看護師資格を取得するためには看護学校で、必要な知識や技術を習得し、看護師国家試験の受験資格を得ることができます。
将来、看護師になるには、法律によって定められた看護学校※1を卒業し、看護師国家試験を受けて合格しなければなりません。そのため、高校を卒業した時点で3つの選択肢があります。1つ目は4年制の大学、2つ目は3年制の短期大学、3つ目は3年制の専門学校です。
近年、看護師のニーズが高まっており、看護師を養成する大学・学部が増えています。2020年度の看護師国家試験は、受験者数は65,568人、合格者は58,513人、合格率は89.2%でした。
4年制の大学は、看護師になるための授業だけではなく、一般教養科目も学び広い教養を得られるのが魅力です。大学では、「看護師」と同時に「保健師」や「助産師」などの国家試験受験資格を得ることもできます。その他に、大学を卒業すると学士の資格も取得できます。さらに、臨床経験※2を積むことで大学で看護教員になることができます。また、大学院に進み修士の資格を取ることで、講師や教授への道も開けます。
3年制の専門大学は、看護師になるための授業に特化し、臨床実習や実技授業など実践の場に実践の場に則した授業が充実していますので、「早く現場で仕事をしたい」という方には専門学校への進学がおすすめです。
「看護師になりたいけれど、どの学校に行けば良いか分からない…」。そう感じる方は、進路ナビで看護師を目指せる学校を検索することができます。また、プロの看護師の体験談も紹介しています。詳しくはこちらの「職業から進路や進学先を考えよう!!看護師」のページをご覧ください
こちらのサイトでは看護学校の受験問題集を購入することができます。詳しくは「看護医療系学校 受験問題集」をご覧ください。
看護学校への進学を決めるにあたって、学費がいくらかかるかは重要なポイントです。私立と国公立を区別せずに、大学、短期大学、専門学校の学費の平均をご紹介します。金額を比較してみると、専門学校、短大、大学の順に学費が安くなっています。
教育機関の種別 | 学費の平均 | 上限の目安 | 下限の目安 |
---|---|---|---|
大学 | 約1,770,000円 | 約2,050,000円 | 約1,150,000円 |
短大 | 約1,340,000円 | 約1,800,000円 | 約640,000円 |
専門 学校 |
約820,000円 | 約1,600,000円 | 約520,000円 |
看護学校にかかる学費の内訳は以下の4つになります。その他にかかる費用しては、教科書、被服費、研修費などがあります。
内訳は学校によっては異なりますので、詳しくは各学校のHPでご確認ください。
進路ナビでは看護師を目指せる学校を検索することができます。詳しくはこちらの「職業から進路や進学先を考えよう!!看護師」のページをご覧ください。
看護学生の就職はいつから始めたら良いのかお悩みの方も多いと思います。大学の場合は3年次から、専門学校・短大は2年次からのスタートになります。主な流れは、下記の就職活動のスケジュール表をご覧ください。
比較項目/学校の種類 | 大学 | 専門学校 |
---|---|---|
学ぶこと | 「看護師になるための授業」 | 「看護師になるための勉強」 |
「般教養科目」 | 実技や実習が充実 | |
資格 | 看護師 | |
保健師 | - | |
助産師 | ||
学費※3 | 約1,770,000円 | 約820,000円 |
初任給の平均※4 | 基本給 207,856円 | 基本給 207,856円 |
卒業時の受験資格は、大学卒業者(大卒)の場合、「看護師」「保健師」「助産師」の3つの国家試験受験資格を得ることができます。これに対して専門学校卒業者は「看護師」のみになりますが、3年制の短期大学や専門学校でも、卒業後さらに保健師や助産師の専門の学校へ進学すれば、保健師や助産師の国家試験受験資格を得ることができます。
大卒と専門卒の給与の違いはどうでしょうか。大卒と専門卒では仕事内容にはあまり差がないものの、基本給に差が出ることがあります。
日本看護協会の2019年度「病院看護実態調査」では、新卒看護師の基本給の平均は次のようなデータが出ています。
最終学歴 | 初任給の目安 |
---|---|
専門学校卒 (高校+3年課程の看護学校) |
基本給:平均201,263円 給与総額:平均264,307円 |
大学卒 |
基本給:平均207,856円 給与総額:平均272,018円 |
出典:日本看護協会「2019年 病院看護実態調査」
看護師の資格を取得すると、どのような活躍の場があるでしょうか。看護師の職場でまず思い浮かぶのは病院ですが、近年は少子高齢化や予防医学が発展し、病院や診療所だけでなくさまざまな施設・分野で働くことができます。
進路ナビでは、病院で働く医療のスペシャリストたちそれぞれの専門に応じた仕事とその役割をご紹介しています。詳しくはこちらの「職業から進路や進学先を考えよう!!病院で働くスペシャリスト」のページをご覧ください。
医療現場には欠かせない看護職。夜勤や時間外勤務などがあるため、働き続けるのに不安を抱える人もいるのではないでしょうか?
最近では、仕事とプライベートの生活とのバランスを取って働く「ワークライフバランス」への関心が高まっていることもあり、看護職においても個人のライフイベントに応じた働き方を実現させるような制度や取り組みが増えています。日本看護協会では「短時間正職員制度(フルタイムよりも短い勤務形態や1週間の労働日数を少なくした働き方など)」の普及にも力を入れているので、今後は、看護職でも仕事と生活を両立させる働き方が可能になるでしょう。
新型コロナウイルスの感染拡大により、看護師の需要が高まっています。厚生労働省は、2020年5月に「新型コロナウイルス感染の拡大に対応する医療人材の確保の考え方および関係する支援メニューについて」で、医療従事者の負担を軽減するため、子育てや介護などの理由で離職し、現在は看護師として働いていない有資格者に復職を促すよう各都道府県に求めています。一方で、看護学生の就職活動では、感染予防対策のため就職説明会の入場制限や選考・採用が止まる・遅れるなど医療機関への影響も出ています。
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