地域の人々を犯罪から守ってくれる警察官は、私たちが安心して生活を送るのに欠かせない存在。「子供のころから憧れていた」「困っている人の役に立ちたい」という理由から警察官に憧れる人も多い人気の職業です。憧れはあっても、具体的に警察官になるにはどうしたらいいのかわからない方とも多いのでは。そこで、警察官になるための基本的な条件や仕事内容、警察官を目指すにはどのような学校があるのかなどを紹介します。
警察官の仕事は、人々を危険から守り、安全な社会にすることです。主に次のような仕事があります。
警察官になるためには、どんな学校で何を学んで、どのような資格をとればいいのでしょうか?
警察官になるためは特別な資格は必要ありませんが、公務員試験に合格する必要があります。公務員試験は、高校卒業以上の学歴があれば受験することができ、警察官になるための公務員試験には、高卒程度試験(三種)と大卒程度試験(一種)があり、高卒程度試験は18歳〜35歳までの高校・短大卒業者および卒業見込み者が受験できる試験になっています。この試験は、職務の特性から職務を遂行するのに支障のない身体的状態であるか検査項目ごとに合格基準が設けられています。自治体によって、検査項目や合格基準が異なるので、高卒程度試験(三種)を受験したいときは、身体要件などを自治体または警察ホームページ、受験案内等で確認しましょう。
警察官ついて詳しい情報を知りたい場合はこちらの「職業から進路や進学先を考えよう!! 警察官」のページをご覧ください。
警察官の職場には、大きく分けて「都道府県警察」、「警察庁」、「皇居警察本部」の3つの種類があります。
種類 | 都道府県警察 | 警察庁 | 皇宮警察本部 |
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都道府県警察には、警察本部(東京都は警視庁)のほか、警察署が置かれています。また、警察署の下部機構として、交番や駐在所があります。 | 警察庁(長は警察庁長官)は、広域組織犯罪に対処するための警察の態勢、犯罪鑑識、犯罪統計等警察庁の所掌事務について都道府県警察を指揮監督しています。 | 皇宮警察本部は、天皇皇后両陛下や皇族各殿下の護衛と皇居、御所、御用邸などの警備を専門に行う警察です。 | |
管轄 | 都道府県警察公委員会 | 国家公安委員会 | 警察庁の付属機関 |
地方公務員 | 国家公務員 | 皇宮護衛官(国家公務員) | |
採用試験 | 警察官採用試験 | 国家公務員採用試験 | 皇宮護衛官採用試験 |
初任教育 | 警察学校 | 警察大学校 | 皇宮警察学校 |
仕事 | 地域警察 | 刑事局・生活安全局・交通局・警備局・情報通信局などの内部部局を持ち、全国の警察組織のありかたの企画・運営や、警察組織の間の調整を担っています。都道府県警察の公安部門(テロ対策などを担当する部門)の指揮も警察庁の担当です。ただし、基本的に警察庁の警察官は企画・調整業務に徹し、現場の実務を行うことはありません。 | 護衛部門 |
生活安全警察 | 警備部門 | ||
刑事部 | 警務部門 | ||
交通部 | |||
警備警察 | |||
総務・警務警察 |
都道府県警察は都道府県が設置した組織であり、各都道府県に警察本部や警察署が置かれています。その下部組織として交番や駐在所があります。その中の東京都の警察本部だけは「警視庁」と呼びます。
主な仕事は地域で起きた犯罪や事件に対応して住民の暮らし守ることで、具体的には以下の6つがあげられます。直接、地域住民の役に立ちたいという人は、都道府県警察を目指しましょう。
警察庁は、警察組織の中心であり、警視庁内に、刑事局・生活安全局・交通局・警備局・情報通信局などの内部部局を持っています。そこでは全国の警察組織のあり方を企画・運営、組織間の調整など行っています。
基本的に警察庁の警察官は、企画・調整業務に徹し、交番などの現場で実務を行うことはなく、都道府県警察の指揮をとることになります。警察庁で勤務することは、警察官の中では「キャリア警察官」とも呼ばれエリートコースを歩むことになります。出世したい意欲が強かったり、組織のリーダーとして活躍したい人は、警察庁を目指しましょう。
皇宮警察本部は、1886年の創立以来、皇室守護を目的とした大きな使命と伝統を持つ国家機関です。勤務先は主に皇居と赤坂御用地になりますが、その他に全国の御用邸などの警備も行います。主な仕事内容は次の3つです。
警察官は公務員なので給与は景気に左右されず毎月決まった額が支給されます。総務省が発表した2019年の地方公務員給与実態調査によれば、都道府県の警察官の平均年齢が38.4歳に対して平均で月額の給与が461,961円と賞与1,626,525円が支払われており、平均年収は7,170,057円という調査データがあります。この数値はあくまで平均のため、年齢や警察官の階級、勤務先によっても差がでてきます。
警察官の給与は一般のサラリーマンに比べると高額かもしれませんが、事件や事故がいつ発生するかわからないので、休みの日でも急に呼び出されることも少なくありません。また、凶悪な犯罪者を取り締まることに備えて体を鍛えたり、どのような状況であっても冷静に対応することが求められ、業務から受けるストレスも大きく、その負担の大きさが給与に反映されているといえるでしょう。
警察官になるためには、一般知能や一般知識を問う教養試験に合格し、定められた身体要件をクリアすることが必須になります。それらをクリアして初めて「国家公務員採用試験」の受験資格が得られます。「国家公務員採用試験」合格後、警察官がとして働くにはどのような流れになるのかを、都道府県警察を中心にご紹介いたします。
都道府県警察で働くためには、各都道府県が実施する「警察官採用試験」に合格する必要があります。試験は学力に応じて「大学卒業程度のⅠ類」、「短大・専門学校卒業程度のⅡ類」、「高校卒業程度のⅢ類」の3つに分けて行われます。
それぞれの試験毎の1次試験では、教養試験や論文試験などの筆記試験や資格経歴の評定、身体検査、適性検査などが行われます。1次試験の合格者のみ2次試験に進むことができ面接や体力検査を受けます。
2次試験に合格すると「警察官採用候補者名簿」に名前が記載され、その後、全寮制の警察学校に入学して、警察官に必要な知識を身に付けてから、順次「巡査」として採用になります。
警察庁で働くためには、まず国家公務員試験に合格し、その後「官庁訪問」を行って、数回にわたる採用面接を突破することが必要になります。
皇宮警察本部で働くためには、国家公務員試験に合格後、人事院が実施する「皇宮護衛官採用試験」に合格しなければなりません。
警察学校とは、警察官の教育・訓練を行う機関です。「学校」と名前がついていて、分類上は職業訓練校の扱いになっていますが、学校教育法などに定める一般の学校とは異なり、あくまで警察組織内の教養施設です。数ヶ月にわたって警察官を目指す仲間と共同生活を送りながら、警察職員に不可欠な規律の意識を高め、仲間と協力しながら問題を解決する力を養います。その他にも、一般教養や法学、警察実務、柔道や剣道、合気道などの術科も学びます。
警察組織内の教養施設は、採用される職場によって異なり、都道府県警察の警察官と皇居護衛官は「警察学校」、警察庁は「警察大学校」、皇居警察本部は「皇居警察学校」で学ぶことになります。
将来警察官になりたいと考えていて大学に進学する場合、警察官になってから役立つことを学びたいですよね。警察官採用試験では、都道府県ごとに採用試験があるのですが、県によっては柔道や剣道の有段者は加点されるところもあるので、体育会系の学部は有利かもしれません。
また、警察官は、法律に基づく逮捕・指導を行うため、法律の知識が欠かせません。公務員試験でも法律科目は必修科目なので、法学部で法律を学ぶことは警察官になってからも業務に役立つでしょう。
その他にも採用試験申し込みの際に、持っている資格を証明書とともに申請することができ、一次試験の成績の一部として加点されるので、剣道や柔道などのスポーツ経験や、語学力、簿記、情報処理の資格や、大型自動車運転免許、普通二輪免許、無線免許などを持っているとプラス評価になるかもしれません。
警察官を目指せる大学を調べたい場合は、こちらの「職業から進路や進学先を考えよう!! 警察官」のページをご覧ください。
警察官に限らず、警察に関係する職種でも探したいという人は、下記の職業も参考にしてください。
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